松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

原油市場パート1~3

6月14日

原油市場

 昨夜の原油市場は、米原油在庫の減少や国際エネルギー機関(IEA)の相場見通しに反応して上昇しました。

 IEAは昨夜、2019年の詳細な予測を初めて公表しました。それによると、「米国のシェールオイルなどOPEC外の非在来型石油が需要の伸びを十分カバーするはずだ。」と指摘する一方で、「OPEC内では一部加盟国による生産の落ち込みを補うため、サウジアラビアなどの国が生産を引き上げる必要性が依然あるかもしれない。」と指摘しております。更に、「イランとベネズエラの生産減が埋め合わせられても、来年は需給が微妙な均衡を保つ見通しだ。生産にさらなる支障が生じれば、価格は上昇しやすい。」とも指摘しております。また、「イランとベネズエラは、米国の経済制裁と経済混乱で2019年の石油生産が合計で約30%減少する可能性がり、OPECの増産が必要になるかもしれない。」と指摘しました。2019年の石油生産は、イランで約23%(日量約62万バレル)、ベネズエラで約40%(日量約60万バレル)減少する公算が大きいと指摘しております。そして、「イランとベネズエラの原油生産が2019年末までに日量150万バレル減少し、OPECがそれらの減少を補うことを決定した場合。イランを除くOPECの生産余力が現在の日量340万バレルから日量250万バレルに低下する。」との見通しを示しました。また、OPECの原油生産が今年の10~12月期から日量24万バレル増加するとの見通しも示しました。

 昨夜発表された米エネルギー情報局(EIA)週間石油在庫統計は、原油410万バレル減、ガソリン227万バレル減、クッシング原油68万バレル減となりました。原油在庫が市場予想(270万バレル減)を上回る減少となりましたが、その一方で米原油生産が前週比10万バレル増の日量1090万バレルとなり、増産ペースが加速したと共に米原油生産が過去最高を更新しました。1週間で日量10万バレルの増産ですから、このペースが1カ月続けば日量40万バレルほどの増産となる計算であり、1年間続けば日量520万バレル増産する計算ですから、ここにきて米国の増産がいかに加速したかが伺えます。

 トランプ大統領は昨夜、「原油価格は高すぎだ。OPEが仕事に励んでいるようだが、これではいけない。」と自身のツイッターに書き込みました。それに対してイランのアルデビリOPEC理事は、「(トランプ大統領は)OPEC加盟2国(イランとベネズエラ)を処罰することは出来ないし、相場変動をめぐって引き続きOPECを批判することも出来ない。」と述べ、米国によるイランやベネズエラへの経済制裁が相場変動の要因になってきたことを指摘しました。来週末のOPEC総会を控えて、増産に対する賛成派と反対派のけん制が行われているようです。

6月14日

原油市場パート2

 本日からサッカーワールドカップがロシアで開催されます。そして、本日開催されるワールドカップ初戦は、「ロシア対サウジアラビア」です。しかも、ロシアのぺスコフ大統領補佐官は昨日、サッカーワールドカップの開会式に出席するサウジアラビアのサルマン皇太子との会合が予定されていることを明らかとしました。本日は、ロシアとサウジアラビアによる「サッカーの対決」と「石油生産に関する会合」が行われる予定です。

来週22~23日に開催されるOPEC総会に向けて注目が高まってきました。ロシアのノバク・エネルギー相とサウジアラビアのファリハ・エネルギー相がサッカーワールドカップ開催中に協調減産について協議する予定です。ノバク・エネルギー相とファリハ・エネルギー相は共に日量100万バレルほどの増産についての協議を始めていることを明言しているだけに、OPEC総会前に共通意見を固めるための会合となりそうです。


6月14日

原油市場パート3

ロシアの6月1日~12日の原油生産が日量1110万バレルとなり、OPEC加盟国と非加盟国による協調減産により定められた同国の割当量(日量1094万7000バレル)を上回ったことが伝えられております。ロシアとしては、OPEC総会前に割当量以上の増産に踏み切ることで、他の産油国に対するロシアの増産への姿勢を示す狙いがあるようです。

一方、サウジアラビアは、OPECに対して5月の産油量が日量1000万バレルをやや上回る水準まで増産したことを報告しました。同国の4月の産油量が日量986万8000バレルであり、協調減産による割当量が日量1005万8000バレルです。こうなれば、ロシアに同調してサウジアラビアも、OPEC総会前に同国の割当量以上の増産に踏み切る可能性が高まります。

 今月22~23日に開催されるOPEC総会前に、ロシアとサウジアラビアが共に協調減産により定められた割当量を上回る増産することにより、他のOPEC諸国もサウジアラビアやロシアの増産姿勢に同調する可能性が高まりそうです。


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白金市場パート1~2(6月11日配信記事)

下記の記事は、昨日配信しました過去記事です。参考にどうぞ。


6月11日

白金市場

 昨年12月中旬には、東京パラジウムに対して東京白金が400円ほど下回る状態となりました。それにより、「自動車触媒におけるパラジウムの代替需要としての白金」が注目され、東京白金が昨年12月中旬からの1か月間で400円ほどの大幅上昇となりました。その後、2月上旬には、東京白金が東京パラジウムを上回る場面もあり、価格差逆転で「自動車触媒におけるパラジウムの代替需要としての白金」への注目が薄れると、東京白金の下げ足が速まりました。

 その後、東京白金が東京パラジウムを200円ほど下回る場面が2月下旬と4月下旬、5月中旬、6月上旬にあり、現在は、東京白金が200円ほど下回っている状態です。東京白金と東京パラジウムとの価格差が過去4カ月間で200円付近が限界となっていることは注目でしょう。そして、東京パラジウムが今月初めからじり高基調に転じてきたことを受けて、再び「自動車触媒におけるパラジウムの代替需要としての白金」が注目され始めたようです。

 添付している東京白金日足上の赤い丸印は、東京白金と東京パラジウムの価格差が200円付近まで拡大したタイミングです。過去4か月間のパターンでは、東京白金と東京パラジウムの価格差が200円付近まで拡大したタイミングが「東京白金の買い場」となる傾向もあるようです。

6月11日

白金市場パート2

 ロシアのアルミ大手であるルサール社への米国による経済制裁が8月下旬までに解除されなければ、輸出や財務が再び困難な状態に直面することが、業界関係者より伝えられております。米国が4月6日に発表したロシアへの制裁は、富豪や当局者24人と企業12社に及びました。その制裁対象にルサール社やオレグ・デリパスカ氏が含まれていたことが注目されました。オレグ・デリパスカ氏は、ルサール社とノリリスク・ニッケル社の大株主です。ルサール社は、中国以外で最大のアルミ生産会社です。ノリリクス・ニッケル社は、パラジウムとニッケルの世界最大の生産量を誇り、白金もかなり生産しております。そして、ルサール社の主要顧客にフォルクス・ワーゲンやトヨタ自動車も含まれます。

 米国の経済制裁を受けてルサール社の輸出や財務が8月下旬に向けて再び困難な状態に直面する見通しとなってきました。そうなれば、アルミが急騰することになりそうです。そして、ルサール社の輸出や財務が再び困難な状態に直面すれば、ノリリクス・ニッケル社の出や財務も不安視されるようになり、ノリリクス・ニッケル社で生産されるニッケルやパラジウム、白金などの価格上昇に繋がる可能性もあります。

 今月8~9日に開催されたG7サミットの主要宣言では、ウクライナ問題を踏まえてロシアに対し、「民主主義を弱体化させる振る舞いの停止」を求めると共に、必要ならロシアへの追加制裁を科す用意があると警告しております。更に、英国で3月に発生した神経剤による元ロシア情報院暗殺未遂事件ロシアが関与した可能性が極めて高いと非難し、サミットからロシアが追放される原因となった2014年のウクライナ・クリミア半島編入も違法と強調しております。しばらくロシアへの制裁が継続される可能性も高そうです。それにより、ロシア経済制制裁連銘柄となるアルミやニッケル、パラジウム、白金などは今後も注目かもしれません。

東京白金と東京パラジウムの価格差グラフ
東京白金の日足


 

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原油市場パート4

6月8日

原油市場パート4

ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、主要輸出港2港でタンカーの渋滞が解決せず、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は、不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとし、これを受けて6日からの原油価格がかなり上昇しました。しかし、これがペトロレオス社により原油輸出増加を促す行動なのであれば、6日からの原油価格上昇に対する反動安を招く可能性もあります。

2月以降からベネズエラ主要港沖で原油の積みこみ待ちのタンカーが増え始め、6月7日時点で80隻以上となったそうです。ベネズエラ国営石油会社は、20億ドルの調停金支払いを求める米石油大手のコノコフィリップスによる資産差し押さえを受けて、輸出用カーゴが不足気味となっているようです。それにより、原油積み出しが遅れ気味となり、主要輸出港2港でタンカーが渋滞しているようです。これを、瀬渡しに変更すれば、ベネズエラ主要港に溜まっている輸出用原油の積込みが一気に加速する可能性があります。しかも、主要港沖で80隻以上もの石油タンカーが待機中であり、瀬渡しに伴う追加負担がベネズエラ側負担ですので、これから瀬渡しが加速しそうです。

これまで強材料と捉えられていたベネズエラ石油港問題は、本日からの瀬渡し開始により、弱材料に転じる可能性が出てきました。

原油市場パート3

6月8日

原油市場パート3

複数の情報筋は6月6日、ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、主要輸出港2港でタンカーの渋滞が解決せず、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は、不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしました。そして、本日になってペトロレオス社が瀬取りを開始したことを関係者より伝えられております。更に、中国国有石油会社幹部からは、「ベネズエラ側は、瀬取りの実施を求めてきた。そして、追加コストは負担する意向を示した。」と述べております。

ベネズエラ側が瀬取りに伴う追加資金を負担する理由は、今すぐに現金が必要だからかもしれません。ベネズエラの物価上昇率が1万3000%というハイパーインフレとなっております。そして、ベネズエラは、6月4日に予定していた自国通貨を1000分の1に引き下げるデノミを、新紙幣の原料不足を理由に8月4日に先送りしました。財政悪化の為に新紙幣の原料購入が滞っただけに、ベネズエラ政府としてもベネズエラ国営石油会社を通じて今すぐにも滞り気味の石油輸出を急増させたいところでしょう。そうした背景を考えれば、ペトロレオス社(ベネズエラ国営石油会社)が、顧客が瀬取り(洋上での船荷積みかえ)に応じない場合は不可抗力条項の発動を検討していることを明らかとしたことも納得で来ます。そして、本日より追加費用がベネズエラ側負担となる瀬取りが始まり、主要港沖に積込み待ちのタンカー80隻以上が待機していることから、ベネズエラからの原油輸出が一時的に急増する可能性も高まってきました。

みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

「特別賞」を受賞しました

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