松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

金市場分析「方向性が乏しい金相場」

 近年の金相場は、12年12月に1784ドルにまで上昇し、その後7ヶ月間で600ドルほどの暴落を記録。昨年の6月と12月に1200ドル付近まで下落してダブルボトムを形成し、昨年8月と今年3月に1400ドル付近まで上昇してダブルトップも形成していることから、この1年間は、1200~1400ドル付近の範囲内でのボックス圏相場となっております。そして現在値が1284ドル付近で推移しており、過去1年間のボックス圏相場での中間的水準にあり、値ごろ的にも仕掛けにくく、最近の金相場のボラティリティーの低さからも、方向性が乏しい展開が続いております。

 ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今週発表した第2四半期(4~6月期)の需給レポートでは、金需要全体の半分以上を占める宝飾品向け需要は前年同期比30%減の510トン。各国中央銀行による金購入は、前年同期比28%増の118トン。金地金およびコインの需要は前年同期比56%減の275トン。ETFからの流出量は40トンと、前年同期の10分の1に減少。需要合計は、前年同期比16%減の964トン。供給合計は、前年同期比10%増の1078トン。この需給報告に対してWGCのストラジテストは、「昨年は記録的な消費者の購入と投資家の売却を見た例外的な年でしたが、今四半期の需要は引き続き長期的トレンドへの回帰を示し、金市場特有のバランスの取れた性質を表しています。宝飾品を購入している消費者は2013年以降も引き続き宝飾品が求めやすい好機であると捉え、投資家も昨年の極端な状況から、バランスを取り戻しました。金市場全体としては、例外的な年となった2013年以降、安定化に向かっています。」と説明しております。

今回のWGCのレポートで特に気になった点は、今年第2四半期の金需要が前年同期より大きく落ち込んだのは、昨年第2四半期の需要が記録的に増加したためであり、長期需要トレンドは、安定していると伝えている点です。昨年前半で金相場が高値から600ドルほどの暴落を記録したことで、昨年第2四半期に記録的な金需要を呼び込みました。しかし、その後、金価格が上昇を始めると、旺盛な金需要も徐々に姿を消し、昨年8月に1400ドル付近で下落基調に転換しました。現在値は、昨年の第2四半期と同じような価格水準ですが、昨年のような旺盛な金需要はまったく感じられません。昨年第2四半期の記録的な金需要の伸びは、1200~1300ドル付近だからではなく、「半年間で600ドルほどの暴落によって発生した割安感」だったのでしょう。ここにきて米国株が最高値を更新し、金相場のボラテリィティーも低下していることから、このままでは、第2四半期以上に第3四半期(7~9月期)の金需要が低下する可能性も出てきました。最近では、インフレ懸念も一時より低下し、ウクライナや中東での地政学的リスクも新鮮味が薄れており、米国の早期利上げ懸念も根強いことから、金投資への魅力が低下しているようです。現在1284ドル付近で推移しているNY金が、この1年間での下値抵抗線となっている1200ドル付近まで下落すると、テクニカル的な買いも視野に入ってくるものの、1300ドル付近の水準では、値ごろ的な抵抗も期待できそうにありません。一方、最近の米国株の急上昇やユーロドルの急落、早期利上げ懸念の高まりなどでも、それほど下落に転じなかった金相場ですから、積極的に弱気するにも気が引けるところではないでしょうか。金相場は、仕掛けどころを待つ時期かもしれません。

140828kin

情報提供 : ()インベステック

※本画面に掲載されている情報の著作権は、インベステック及び各情報提供会社に帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、インベステック及び各情報提供会社は一切の責任を負いません。

海外市況

 SP500は0.1ポイント高の2000.12ポイントとなり、大台乗せによる達成感から、前日までの上昇基調が感じられない値動きでした。良好な第2四半期決算や複数の経済指標を背景に前日まで上昇を続けていたものの、ここにきて更なる上昇に対するファクター不足というところでしょうか。ユーロドルがようやく上昇に転じました。ジャクソンホールでのドラギECB総裁の演説から、ECBの追加緩和策が意識されたことでユーロ売りに弾みがついたものの、ロイター通信から、「29日発表の8月のインフレ率によってユーロ圏がデフレに向かって進んでいることが示されない限り、ECBは来週の政策委員会で新たな措置を打ち出す公算は小さい」と報じられたことを受けて、追加緩和策期待が後退し、ユーロが買い戻される値動きとなりました。明日のユーロ圏の消費者物価指数(8月)が注目されそうです。8:50時点での外電換算は、東京金8円安、東京白金17円安、東京ガソリンはブレント原油で140円高、NY原油で140円安、東京とうもろこしは前日比変わらずです。本日は、米国の第2四半期GDPの発表が予定されております。

 NY金の電子取引は、昨日15:30比2ドル安付近で推移。ホットマネーが米国株式市場に集中していることから、対ユーロでのドルがやや下落に転じても金相場の上昇につながらなかった模様。原油市場が2ヶ月間で15ドルほど下落し、米穀物市場が3ヶ月ほど前から大きく下落したことにより、今月発表された米消費者物価指数が市場予想を下回る低調な伸びとなったことから、「インフレヘッジの金投資」の魅力が薄れているようです。現在の低調なインフレ率の伸びにより商品市場全体への魅力も低下しており、それに経済指標と決算発表が良好な内容とくれば、投資家の視線が米国株式市場に向いてしまうのは仕方がないことなのでしょう。米国株の上昇により、株式の時価総額が66兆ドルを突破して過去最高となっているものの、米国株が調整を入れることになれば、これまで株式市場に向かい続けたホットマネーが「リスクヘッジの金市場」へ流入することも考えられることから、金相場としても、今後の米国株式市場の動向が気になるところでしょうか。

 NY原油は、94.2ドル付近まで上昇したが、クッシング在庫の増加発表を受けて一時93.4ドル付近まで下落し、現在の電子取引では93.7ドル付近で推移。EIA週間石油統計では、原油在庫が予想されたほど減少せず、クッシング原油在庫が4週連続で増加となりました。

穀物市場「米中の豊作を織り込むのは?」

 今月12日の米農務省による需給統計では、トウモロコシの生産高が140億3200万ブッシェルとなり、事前予想の142億5300万ブッシェルを下回ったものの、総供給が1億7200万ブッシェル上方修正され、過去最高の152億4300万ブッシェルとされました。9月中旬ごろから収穫作業が始まる事から、この「収穫直前の需給統計」の発表により、マーケットは大豊作を織り込んだと見る向きもあるようです。マーケットの反応も、12日の需給統計の発表を境に上昇に転じております。シカゴコーンは、5月9日に5ドル19セントの高値を付けたものの、その直後から強力なダウントレンドを形成し、8月12日に3ドル47セントの安値を記録。しかし、同12日の米農務省による需給報告の発表直後から上昇基調に転じており、現在は3ドル65セント付近で推移。この値動きを見る限り、12日の需給報告で大豊作が織り込まれたかに感じられます。これまでも「8月の需給報告」でシカゴコーンがトレンドを反転させる傾向がありました。相場格言でいうところの「知ったらしまい」、「噂で買って、事実で売れ」、「豊作に売りなし」という事かもしれません。

 今年は、米国と中国の穀物が豊作見通しとなり、今後、収穫作業が進むにつれて、貯蔵サイロ不足に悩む農家も増えそうです。米国では、2年連続での豊作により、収穫が進むにつれて米中西部のあちこちでトウモロコシの山が出現するとの意見もあります。米農務省は、来年のトウモロコシ在庫が2006年以降最高の18億800万ブッシェルに達し、2年前の在庫水準の2倍以上に膨れ上がると予想しております。2年前の在庫が低水準過ぎたのですが、それでもこの2年間での在庫見通しの変化には驚かされます。一方、中国では、11年目の豊作が予想されており、国営メディアによると、政府は1億5000万トンの穀物を抱えると推測しております。中国政府が保有しているトウモロコシ在庫は、世界全体の在庫の4割ほどとされており、中国市場でのダブつきも気になるところでしょう。これから収穫作業が進むにつれて、米中での備蓄サイロ不足が深刻になり、あちこちでトウモロコシが山積みされるとの意見もあります。しかし、そうしたことが現時点で予想されていることから、すでに現在のトウモロコシ価格は、そうした状況を反映しているとの意見もあるようです。

 米国のトウモロコシ需要の3分の1は家畜用飼料、そしてエタノールも3分の1を占め、残り3分の1が輸出に向けられております。しかし、中国へ輸出された米国産トウモロコシに認められていない遺伝子組み替え作物が含まれているとの理由で、中国政府が米国からの引き取りを拒否したため、米国は最大輸出国である中国への今年上半期の輸出量が前年同期比86%減へと激減しました。このこともシカゴコーンを急落させる要因となりました。豊作予想と中国への輸出量激減のダブルパンチにより、シカゴコーンが5月中旬ごろから3か月間で33%下落しました。しかし注目は、12日の需給報告発表以降、緩やかですが上昇に転じている事かもしれません。米トウモロコシ価格が4年ぶりの水準にまで下落したことにより、米国でのトウモロコシ需要が増加し始めているようです。トウモロコシ価格が大きく下落したことにより、米国での家畜用飼料に対するトウモロコシの配合比率を引き上げ、その代わりに干し草やアルファルファなど割高な原材料の配合比率を引き下げる動きが報告されております。シカゴコーンが1年前の半値以下にまで下落したのですから、これからも世界的に家畜用飼料に対するトウモロコシの配合割合が増加する事が予想されます。 

これまでのシカゴコーン市場では、「どれだけ収穫できるのか?」という天候相場特有の思考が注目されてましたが、これからの需要相場では、「需要がどのように変化するのか?」という思考が注目されることになるのかもしれません。投資家としては、天候相場と需給相場とでは、注目する視点、考え方を切り替える必要があるのではないでしょうか。昨年、不作懸念を背景にシカゴコーンが8ドル40ドル付近まで上昇したものの、8月の農務省発表で不作が確定となり、その直後から暴落が続き、昨年末には4ドル付近まで下落する事となりました。2008年も、同じように4ドル付近から7ドル付近まで上昇を続けたものの、8月の需給報告で不作が織り込まれると、その年の年末には3ドル付近まで下落しました。08年や13年のように、不作でも年央から下落トレンドを形成した理由を思い返せば、今後の作戦に役立つのではないでしょうか。「知ったらしまい」、「噂で買って、事実で売れ」、「豊作に売りなし」ということわざがあり、天候相場と需給相場とでは、視点や考え方を切り替えることが必要かと思われます。


前場市況1

 NYダウの電子取引は、今朝から小動きです。日経平均は、7円高付近で推移。ドル円やユーロドルも今朝から比較的小動きで推移。マーケット全体が今朝から静かな立ち上がりです。ドル円は、昨夜から3度も104円15銭付近が上値抵抗となっております。この水準は、今年4月の高値水準でもある事から、テクニカル的な抵抗となっているようです。10:50時点、東京金8円高、東京白金9円高、東京ガソリン150円高、東京ゴム1.2円高、東京トウモロコシ40円安です。

 NY金やNY原油の電子取引も今朝から小動きで推移。株式市場も為替市場も今朝から比較的静かな値動きとなっておりますが、地政学的リスクの影響を受けやすい金相場や原油相場としては、昨夜のロシアとウクライナとの首脳会合の内容が気になるところでしょうか。しかし、昨日の首脳会合は非公式会合とされている事から、会合内容の明細は不明です。一方、首脳会合の開催国となったベラルーシのルカシェンコ大統領は、「26日の会合がどうだったかといえば、一つの成功だったと評価できる。適切な方向への第一歩になった」と述べております。このコメントからも、ウクライナ情勢が解決に向けて少し前進する内容となったようですが、抜本的解決とはいかなかったようです。そして同大統領は、「27日にも話し合いが行われる可能性がある」と述べており、本日も引き続き首脳会談が行われる可能性があることから、金相場や原油相場への警戒が必要かもしれません。プーチン大統領は、ウクライナがEUとの関係緊密化方針をさらに追求すれば、ウクライナとの貿易優遇措置の撤廃も辞さないとけん制しており、問題解決にはまだ時間がかかりそうですが、首脳会合のさらなる進展が待たれるところでしょうか。

ゴム市場分析「タイ政府が59.34億バーツ(約194億円)の予算を承認」

 タイ政府が天然ゴムの国家備蓄20万トンの売却を承認したことにより、翌26日の東京ゴムがサーキット・ブレーカーを交えて大きく下落しました。この国家備蓄20万トンの売却に関する問題は、昨年から何度も取り沙汰され、そのたびに現地現物市場の重しとなってきました。タイ政府は、2012年~2013年にかけて価格テコ入れのために天然ゴムを農家から買い上げて棚上げし、価格のテコ入れに動きました。その時の備蓄在庫がいつまでも現地現物市場を圧迫する事はよくないと判断し、タイ政府が備蓄在庫売却を承認したようです。しかし、市場価格の下落により政府が買い上げた値段の半値ほどで売却する事となるようです。前回の価格テコ入れ政策実施時から半値近くにまで下落した現在の産地現物価格は、現地農家にとって危機的水準でしょう。備蓄在庫の売却承認に対して農家代表が知事を介して政府に支援を要求。裁判所は、現地現物価格が危機的な低水準にあるとの判断から指示があるまで備蓄在庫の販売を停止することに合意しているが、それでも備蓄在庫の売却に動くのでしょうか。また、タイ政府は、ゴムセクターに、59.34億バーツ(約194億円)の予算を昨日承認しました。この予算は、農民団体や農民団体のためのゴム加工業者に融資されます。タイ政府としては、備蓄在庫の売却を承認した代わりに、ゴムセクターへの予算を承認したというところでしょうか。そうした昨日の予算承認に反応したかのように、今朝からの東京ゴムがやや堅調な値動きとなっております。

海外市況

S&P500が一時2005.4ポイントにまで上昇し、2000.02ポイントで取引を終え、最高値を更新するとともに終値ベースでも初めて2000ポイントに乗せた。NYダウは29ドル高の1万7106ドル。米消費者信頼感指数が7年ぶりの水準にまで上昇し、その予想外の伸びが米国株を押し上げた模様。ユーロドルが続落となり、1年ぶりの安値を更新。今月18日ごろからユーロドルの下げ足が速まっております。最近の経済指標を見ても、予想以上に良好な内容が続いている米国に対し、予想を下回る内容が続いているユーロ圏とでは、両国の経済情勢を反映して「ドル買い&ユーロ売り」の構図となり、なかなかユーロドルの下げ足が止まらないようです。ドル円は、昨日15:30比25銭の円安。8:50時点での外電換算は、東京金12円安、東京白金14円安、東京ガソリンは、ブレント原油で120円高、NY原油で320円高、東京トウモロコシ80円安です。

ロシアとウクライナの首脳会談が昨日行われました。プーチン大統領は、ウクライナのポロシェンコ大統領と協議し、ガス協議の再開で合意したことを明らかにしました。プーチン大統領は、会談後にウクライナ東部の停戦について、ウクライナ政府が分離派武装勢力と条件をまとめる必要があると主張していることから、昨夜の会談がウクライナ情勢の抜本的な解決には至っていないことが感じられます。しかし、同大統領は、「可能な限り早期の流血停止が必要だという点を協議した。あらゆる問題を政治的に解決する方向にシフトする必要があるという点も協議した。この和平プロセスが始まれば、ロシアは全力で支持する」と述べており、ウクライナ情勢の解決に向けて動き出しているようにも感じられます。ウクライナ情勢の緊張により、この5か月間で2000名ほどの死亡が報告されており、過去24時間で200名以上死亡した事も報告されているほど、ここにきて緊張が高まっている事から、今回の会談に寄せる期待は大きいようです。

NY金は、NY市場の開始直前に1291ドル付近まで上昇したが、その後はじり安を続け、現在は1282ドル付近で推移。NY金は、昨日早朝からウクライナ情勢の緊張を反映してじりじりと上昇したものの、ウクライナとロシアとの首脳会談やドル高が金市場を圧迫した模様。

NY原油は、NY市場の開始前に94.3ドル付近まで上昇したが、その後はやや失速し、現在は93.8ドル付近で推移。原油市場では、米消費者信頼感指数が7年ぶりの水準まで上昇したことなどが好感されたものの、ウクライナとロシアとの首脳会談に圧迫された模様。ここにきて緊張を高めているウクライナ情勢なだけに、昨夜の首脳会談後にどのように情勢が変化しているかが注目されております。

みんコモコラムアワード2015
ColumnAward 2015特別賞

「特別賞」を受賞しました

詳細はこちら
重要事項
通常取引を始めるにあたって
スマートCXを始めるにあたって
重要事項説明
取引開始基準
契約締結前交付書面
金融商品取引法に基づく開示
勧誘方針
個人情報保護法
反社会勢力へ対する基本方針
免責事項
*掲載される情報はサンワード貿易株式会社(以下弊社)が信頼できると判断した情報源をもとに弊社が作成・表示したものですが、その内容及び情報の正確性、完全性、適時性について、弊社は保証を行なっておらず、また、いかなる責任を持つものでもありません。
*弊社が提供する投資情報は、あくまで情報提供を目的としたものであり、投資その他の行動を勧誘するものではありません。
*本ブログに掲載される株式、債券、為替および商品等金融商品は、企業の活動内容、経済政策や世界情勢などの影響により、その価値を増大または減少することもあり、価値を失う場合があります。
*本ブログは、投資された資金がその価値を維持または増大を保証するものではなく、本ブログに基づいて投資を行った結果、お客様に何らかの損害が発生した場合でも、弊社は、理由のいかんを問わず、責任を負いません。
*投資対象および銘柄の選択、売買価格などの投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようにお願いします。
以上の点をご了承の上、ご利用ください
最新記事