松永総研

北浜の虎と呼ばれた男

東京トウモロコシ市況「季節の変わり目に注目」

 日米の経済成長率が鈍化傾向にあり、ユーロ圏経済が景気後退も視野に入るほど低調なだけに、コモディティー市場全体が冴えない環境にあります。先週発表された米国の物価指数の伸びが鈍かったことも、コモディティー市場への圧力となっております。米商品市場最大の取組高を誇るNY原油市場では、全米在庫のダブつきが目立ち、大西洋諸国の原油在庫のダブつきも目立っております。ウクライナや中東の地政学的リスクの高まりが原油市場の下落に幾分ブレーキをかけているとはいえ、この1か月間で高値からNY原油で12ドル、ブレント原油で14ドルほど下落。また、金相場においても、4~6月期のアジアの金需要が46%減の470.9トン。4~6月期の世界の金需要が964トンとなり、前年同期の1148トンから16%減少。金需要の世界的な落ち込みが目立っておりますが、地政学的リスクが金需要の落ち込みを何とか相殺させているようです。「人の噂も75日」と言われるように、ウクライナ問題も長期化してきたことで、新鮮味がなくなってきたように感じられます。また、コモディティー市場全体の人気離散が米商品市場のCFTC建ち玉明細でも明らかとなっております。

CFTC建ち玉明細では、金、白金、原油の買い越し枚数が、1か月ほど前のピーク時か減少傾向を続けております。NY金におけるファンドなど大口投資家の買い越し枚数は、6週間ほど前に15万枚付近にまで増加したが、この1か月間で3万枚ほど減少。NY原油の大口投資家による買い越し枚数は、2か月前に45万枚付近まで増加して年初来最高を記録したものの、この2か月間で35万枚付近まで激減し、年明けに記録した年初来最低枚数に迫っております。一方、シカゴコーンの大口投資家による買い越し枚数は、この3か月間で30万枚付近から8万枚付近まで大幅な減少傾向を続け、価格も3か月前の5.2ドル付近から3.5ドル付近まで大幅下落となりました。しかし、大口投資家による買い越し枚数がここにきて3週連続で7万枚付近にて安定しており、ようやく人気離散傾向が一巡し、それまでの大きな下落トレンドが終焉を迎えた可能性があります。

特に注目すべきは、今月12日の米農務省による需給統計の発表により、マーケットの雰囲気が変化し始める可能性があります。シカゴコーン市場では、「8月の米農務省による需給統計の発表」は特別な意味があり、この発表を境に天候相場から需給相場に変化するという見方もあります。2012年は、不作懸念を背景にシカゴコーンが8.4ドル付近まで上昇したものの、8月の農務省発表で不作が確定となり、その後1年半ほど下げ続け、高値時の約半値付近まで下落しました。2011年は、シカゴコーンが3.5ドル付近から8ドル付近まで上昇を続けたものの、8月の米農務省発表を境に6ドル割れにまで下落した経緯があります。米国の穀倉地帯では、9月中旬になれば収穫作業が始まることから、収穫直前となる「8月の米農務省による需給統計」が重要となり、その発表で豊作と発表されると、豊作が織り込まれる可能性が出てきます。不作と発表されれば、「豊作に売りなし」という相場格言の反対の意味である「不作に買いなし」という事かもしれません。先週の米農務省による需給統計では、生産高が140億3200万ブッシェルとなり、事前予想の142億5300万ブッシェルを下回ったものの、総供給が17,200万ブッシェル上方修正され、過去最高の1524,300万ブッシェルとされました。こうなると、豊作を織り込んで、「豊作に売りなし」となる可能性もあるのではないでしょうか。米国の穀物相場では、特に「天候相場」と「需給相場」との「季節の変わり目」にトレンドが変化することが多いとされております。天候相場では、豊作傾向は弱材料となるものの、その後、需給相場に突入すると、豊作により下落した安値に対し、「安値により需要が増加する」とやや強材料視されることはよくあることです。収穫直前となる8月の米農務省発表で豊作と発表され、その後、上昇に転じた相場は、これまで何度も経験してきました。それだけに、先週からのシカゴコーンは、「天候相場から需給相場に変化した」という考え方が必要かもしれません。これからの需給相場では、「安いシカゴコーンに実需の買いが増加する」となるのかもしれません。今後のシカゴコーン市場において、「季節の変わり目が、相場の変わり目」となる可能性に注目することも一考ではないでしょうか。

原油市場分析「相場は相場に聞け」

 原油市場が6月下旬ごろに高値を付け、この2か月ほどで高値からNY原油が13ドル、ブレント原油が14ドルほど下落したことにより、テクニカル的に下値警戒感も漂っている模様。しかし、イラク問題やウクライナ問題がいまだ緊張を続け、地政学的リスクの高まりが警戒されているにも関わらず、それでも下落基調を続けている原油市場は、もはや強材料に反応できないほど地合いが悪化しているのかもしれません。相場分析方法において、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と同様に「材料に対してマーケットがどのように反応するのか?」という事が大切とされております。世界的に著名なファンドマネジャーであるスチュワート・ウォールトン氏は、「ファンダメンタルズ的な要素はおそらくたった25%程度でしょうね。25%はテクニカル的な要因でしょう。マクロのニュース、個別材料などの異なる情報に株価がどう反応するか、これが25%。相対的な市場動向に対する私の直感が残りの25%です。」という名言を残されております。ウォールトン氏は、「材料に対するマーケットの反応」が、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と同様に重要であることを述べており、私もその考え方に共感しております。そうした「材料に対するマーケットの反応」こそが「相場は相場に聞け」という意味かもしれません。そういう意味では、地政学的リスクに反応できずに下落基調を続けている原油市場は、よほど地合いが悪化しているという事かもしれません。

イラク問題やウクライナ問題の緊張がピークを過ぎたと見方もあるようです。NY原油のファンドなど大口投資家の買い越し枚数も2か月ほど前に近年最高枚数にまで増加したものの、その後、7週連続で減少しており、ファンドによる買いポジションの手仕舞いが続いております。また、日本の原油市場において、NY原油市場より影響力が強いとされているブレント原油市場においては、昨日のICEの発表によると、ファンドなど大口投資家の買い越し枚数が7万2079枚と、2012年7月以来の低水準にまで減少した事が発表されました。しかも、イラク問題やウクライナ問題がいまだ緊張を続けているにもかかわらずここまでファンドの手仕舞い売りが続いていることは、注目かもしれません。EUの統計機関であるユーロスタットが14日発表したユーロ圏18カ国の4~6月期GDP速報値は前期比横ばい(前期比年率換算では0.2%増)となり、1~3月期の0.8%増を下回ったことが発表されました。実質ゼロ成長となったEU経済を象徴するかのように、大西洋周辺国の原油在庫のダブつきがここにきて指摘されるようになりました。また、全米原油在庫のダブつきも指摘されており、商品相場特有の「需給が全てを優先する」という事かもしれません。

しかしながら、原油市場がこの2か月で大きく下落している事から、テクニカル的な下値警戒が必要かもしれません。今後の原油市場においての注目は、WTI原油市場とICE原油市場でのファンドによる手仕舞い売りがどこで一巡するかという事でしょうか。ファンドによる手仕舞い売りが続いている事から、うかつに値ごろ買いもリスクが高く、その一方で、6月下旬より13~14ドルほど一本調子に下落を続けてきた原油市場の下値警戒感も必要であり、現在の東京エネルギー市場では、そうした難しさがあるようです。現在の原油市場では、テクニカル分析でもファンダメンタルズ分析でもそうした難しさがあるようです。そのようなときには、スチュワート・ウォールトン氏の名言からも、「材料に対するマーケットの反応」に注目することも一考かもしれません。目先的には、先週末のウクライナ問題の緊張でも原油市場が小幅上昇程度に留まった事から、「まだ原油市場の地合いが悪化したまま」という事かもしれません。今後、「弱材料でも、それほど下落しなかった」や、「強材料に過剰に反応した」という局面が訪れたら、「原油市場の地合いが改善した」とみて強気開始も面白いのかもしれません。相場が難しく思えたときほど、「相場は相場に聞け」ではないでしょうか。そうした「相場の声」に耳を澄ませておれば、いずれ地合いの変化が「相場の声」として感じられるのかもしれません。

 

海外市況

 NYダウは、175ドル高の1万6838ドル。ドル・円は、昨日15時半比25銭の円安。8:45時点の外電換算は、東京金2円高、東京白金24円安、東京ガソリンはブレント原油で430円安、NY原油で320円安、東京トウモロコシは230円安です。NAHB住宅市場指数(8月)が前月の53ポイントから55ポイントにまで上昇し、市場予想平均であった53ポイントを上回り、7カ月ぶりの水準にまで上昇したことで、景気回復が加速しているとの見方が強まったことから、マーケット全体がややリスクオンの流れとなった模様。

 金市場は、小幅安。先週金曜日のウクライナがロシアから越境してきた装甲車列を攻撃し、一部を破壊したとの発表を受けてもほとんど上昇出来なかった事から、金相場が強材料にもあまり反応できないほど地合いが悪化しているとみるべきかもしれません。4~6月期の世界の金需要が減少している事から、多少の強材料には反応できないとみるべきなのでしょうか。

 原油市場は、イラク北部の政府軍とクルド人民兵組織ペシュメルガが、イスラム過激派「イスラム国」から同国最大のダムを奪還したことにより、地政学的リスクの低下に伴って下落。ダム奪回により地政学的リスクがピークを越えたとの見方もあるようです。原油市場においても、先週金曜日のウクライナ情勢の緊張で小幅高程度に留まり、前日の大幅安の半値戻し程度の上昇に留まった事から、原油市場も強材料にやや鈍感となり、地合いが悪化しているのかもしれません。

 上海期貨交易所の主力銘柄となる上海天然ゴムや上海銅、上海亜鉛などは、昨日の夜間取引で更に上昇。上海非鉄金属銘柄の多くが、先月下旬ごろから下落基調を続けていたものの、これで上海非鉄金属銘柄の大半が2日続伸となった事から、上海非鉄金属市場全体の反転開始へと繋がるのかもしれません。特に上海非鉄金属市場の影響を強く受けるとされる上海ゴムは、先週半ばごろから5年ぶりの安値にまで沈んでいるだけに、思わぬ反発に警戒が必要かもしれません。


東京ゴム市場分析「エボラ出血熱によるゴム手袋業界の特需」


東京ゴム市場分析「エボラ出血熱によるゴム手袋業界の特需」

 上海ゴムが5年ぶりの安値水準に沈み、底なし沼のような様相を呈しております。特に、1日の出来高が80万枚を超えることもある上海ゴム市場は、世界のゴム市場の中で主軸市場になりつつあり、その市場規模の大きさが注目されております。上海ゴムは、昨年12月頃から下落基調を続けていたものの、今年4月ごろから下げ渋りの様相を呈し、ようやく底打ちしたかに思えました。しかし、上海非鉄金属銘柄全体の先月下旬ごろからの下落基調に、上海ゴムも追随を余儀なくされたようです。どうしても上海期貨交易所の大半が非鉄金属銘柄で構成されているだけに、同交易所の花形銘柄でもある上海ゴム市場は、上海非鉄金属市場全体の値動きに大きな影響を受けているようです。目先的には、上海非鉄金属銘柄全体が下げ止まれば、5年ぶりの安値にまで沈んだ上海ゴムの反発力が垣間見られるのかもしれません。また、年初来高値付近で横ばいを続けていた上海総合株価指数が、先週末より2日連続で年初来高値を更新し始めたことも注目かもしれません。そして、上海非鉄金属銘柄全体が本日で2日続伸となっていることから、上海非鉄金属銘柄全体の基調転換となるのかもしれません。

 東京ゴムは、年初来で約28%下落しており、6月にほぼ6年ぶりの安値を記録しました。年初より世界的な天然ゴム価格の下落を導いた主原因は、供給過剰とされております。国際ゴム研究会(IRSG)は、今年5月に世界最大の輸出国であるタイの生産高予想を引き上げ、今年の供給過剰分が昨年の714000トンを上回るとの見通しを示したことが、ゴム価格を圧迫し続けたようです。2年連続での大幅な供給過剰となれば、5~6年ぶりの安値にまでゴム価格が沈むことも仕方がなかったのかもしれません。しかし、今週になりIRSGが、世界の天然ゴム供給の2015年の過剰分が今年よりも46%減少するとの見通しを発表するとともに、今年の供給過剰分を371000トンへと見通しを下方修正しました。IRSGが5月時点の見通しから変更した理由は、需要が拡大する一方、価格下落に伴ってラテックスの採取が減少していることを挙げております。価格下落に伴い、生産者の生産意欲が低下することは、仕方がないことかもしれません。また、15年の天然ゴム生産は需要を202000トン上回ると予想していることも注目かもしれません。20万トン程度の供給過剰予想であれば、タイ政府が20万トン以上の棚上げを実行すれば、供給不足に変化する程度のことかもしれません。また、天然ゴムの低価格が更に長引けば、生産者の生産意欲が更に低下し、来年度が供給不足へと変化するかもしれません。

 ここにきてマレーシアの大手ゴム手袋メーカーの株価が高騰していることが注目されております。マレーシアは、世界第3位の天然ゴム生産国であり、世界有数のゴム手袋生産国です。西アフリカでエボラ出血熱が感染拡大しており、感染予防としてゴム手袋の需要が急増するとの観測が背景にあるようです。前回、マレーシアのゴム手袋業界が特需に沸いたのは、WHO20094月に鳥インフルエンザの緊急事態を宣言した時であり、その時は、天然ゴム価格も上昇傾向を続けました。ただ現時点では、エボラ出血熱が09年の鳥インフルエンザほどの感染規模に達していないため、ゴム手袋業界が特需に沸くほどには達していない模様。ただ、エボラ出血熱がいまだ感染拡大を続けており、鳥インフルエンザと比べ物にならないほどの死傷者を記録している事から、ゴム手袋業界が特需に沸く可能性は注目かもしれません。WTOの昨日の発表では、エボラ出血熱による死者が1145人に達しており、感染が確認、あるいは疑われるケースが2千名ほどに達している模様。エボラ出血熱のパンデミックが警戒される中、WTOの事務局長は1日、アフリカ西部諸国で流行しているエボラ出血熱について「われわれの阻止する努力を超える速さで拡大している」と述べ、制御不可能なレベルに達しつつあるとの認識を示しております。西アフリカからの渡航に対して、各国の空港も検査実施を視野に動きだしている模様。過去には、エイズが世界的に騒がれ始めた時にコンドーム業界の特需が起こり、日本のコンドームメーカーである岡本理研ゴムの株価が高騰するとともに、天然ゴムが上昇を続けた事を記憶している方も多いのではないでしょうか。最近では、中国で微小粒子状物質「PM2.5」などによる大気汚染が騒がれ、マスク業界と空気清浄器業界の特需が起こった事は、記憶に新しいところでしょう。09年の鳥インフルエンザの感染拡大の時もゴム手袋業界の特需が起こり、天然ゴム市場を上昇させただけに、今回のエボラ出血熱の感染拡大に伴うマレーシアのゴム手袋メーカーの株価高騰は、天然ゴム市場にとって無視できないことかもしれません。

みんコモコラムアワード2015
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