今週3日にインドネシアで3カ国会合(国際3カ国天然ゴム協議会・ITRC)が開催されます。ITRCは、タイとインドネシア、マレーシアの3カ国で構成されます。そして、今回の会合では、ベトナムやカンボジア、ミャンマー、ラオスなどのCLMV諸国のゴム産業を担当する大臣も参加します。今回の会合では、ITRC加盟国とCLMV諸国の大臣による会合が行われ、天然ゴム市場の供給管理計画(SMS)の実施や需要と供給のバランスを取ることについて話し合われます。ITRC加盟国とCLMV諸国による天然ゴム生産は、世界生産の約78%を占めることから、今回の会合次第では、天然ゴム市場に対して大きな影響を与えることになります。また、今回の会合に向けた準備高級事務レベル会合が11月30日~12月2日に開催され、そして、12月3日に大臣級会合が行われる段取りとなっております。産地天然ゴム価格が生産コストとされる水準を大幅に割り込んでいるだけに、今回の会合で「天然ゴム市場に対する価格テコ入れ政策」が決定する可能性もあります。
本日は、このあと11:45に中国の財新製造業PMI(11月)や財新サービス業PMI(11月)の発表が控えております。前月発表の各種PMIが大幅上昇に転じただけに、今月発表値も大幅上昇となれば、中国関連銘柄が上昇基調に転じる可能性もあります。
下記のコメントは、11月18日に製作した過去記事です。参考にしてください。
11月18日
資源価格&資源国通貨
NY白金が7年ぶりの安値を記録し、NY金が5年ぶりの安値を記録すると共にNY銀が1950年のデータ開始以来で最長となる13営業日続落となりました。また、NY銅が6年ぶりの安値を記録しており、非鉄金属や貴金属の下落基調が6月頃から続いております。工業用金属全般の約3割強を中国が消費していることから、6からの中国株の急落を受けて非鉄金属や貴金属の下げ足が早まりました。しかし、上海総合株価指数が8月末頃から上昇に転じており、同株価指数が8月26日の年初来安値(2850ポイント)から11月17日の高値3678ポイントまで約29%の上昇となったにもかかわらず、いまだに非鉄金属や貴金属の多くが下落トレンドを続けていることに疑問を持つ投資家も多いのではないでしょうか。
米CFTCが16日に発表したデータによると、NY銅におけるファンドの売り越し枚数が前週比39%増となり、2014年1月以来の大きさで増加しました。RJOフューチャーズのストラテジストは、「銅市場はこれまで私が見てきた中で最悪の市場の一つだ。需要は現在のところ基本的にないに等しく、こうした状況は全て今夏に中国株が急落した時に始まった。」と述べております。資産運用会社であるコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの商品市場担当者は、「中国の株式取引が最初に制限されたとき、われわれは中国人投資家による銅の激しい売りを目撃した。それはリスクを売るはけ口だった。」と述べております。また、資源メジャーであるグレンコアのCEOは、「全く理屈に合わない。われわれは銅在庫と相場がこのような水準まで減少したのをみたことがない。こうした水準だと、通常は銅相場がはるかに大きく上昇するものだ。」と述べております。現在の世界主要3取引所の銅在庫は、世界消費の1週間弱程度しかありません。それでも銅市場を中心として非鉄金属市場全体が下落トレンドを続けているのです。中国当局が株式取引を制限し始めた7月初め以降、中国の株価指数先物の取引高が約97%減少しました。その反面、上海銅の取引高が2倍近くに増えました。こうしたことからも、中国株保有投資家のリスクヘッジの手段とされてきた中国株の株価指数先物へのヘッジ売りが規制強化により難しくなったことで、非鉄金属銘柄などが「中国株のヘッジ売りの対象」とされているようです。こうした非鉄金属市場に対するヘッジ売りの流れは、2週間後に発表される各種PMIや11月の中国乗用車販売台数などにより大きく変化する可能性もあります。
中国汽車工業協会(CAAM)発表による中国乗用車販売台数(小売ベース)は、今年4月から前年同月を割り込み続け、8月が前年同月比-3%でした。しかし、9月が+2.1%の200万台となり、10月が前年同月比+11.8%の220万台となりました。中国当局が9月末にエコカー減税を発表した効果が表れたようです。また、米調査会社であるオートデータによる発表では、10月の米国新車販売台数が前年同月比13.6%増の145万5516台となり、2ヶ月連続で大幅な伸びを記録しました。中国当局が9月末に「エコカー減税」と「住宅購入支援策」を発表したことにより、中国における10月の乗用車販売台数と住宅指標が大幅な改善を見せました。それを受けて中国の10月の財新製造業PMIが1.1ポイント上昇、財新サービス業PMIが1.5ポイント上昇、コンポジット(製造業&非製造業)PMIが1.9ポイント上昇となり、再び中国経済の成長に力強さが戻りました。特に財新コンポジットPMIが49.9ポイントまで上昇して景気分岐点とされる50ポイントまであと0.1ポイントに迫っており、12月1日の発表で景気分岐点とされる水準を大きく上回る可能性も出てきました。更に、来月10日前後に発表される11月の中国乗用車販売台数が今回同様に大幅な伸びを記録することになれば、資源価格や資源国通貨が上昇トレンドに転換することも考えられます。
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上海銅の1日の売買高は、この2ヶ月間で35万枚付近から100万枚付近まで急増しました。上海亜鉛の売買高は、この2ヶ月間で40万枚付近から150万枚付近まで急増しました。上海アルミの売買高は、この2ヶ月間で7万枚付近から40万枚付近まで急増しました。これほどの売買高急増は、かなり珍しいことです。しかも、上海銅や上海亜鉛、上海アルミは10月上旬から急落を続けているのです。そして上海非鉄金属銘柄の売買高は、今週になって年初来最高を記録しているのです。こうした売買高の劇的な増加傾向を見ると、非鉄金属銘柄に対して近年稀に見るほどの投機人気の高まりを感じます。しかも、下げ相場でこれだけ人気化することは珍しいでしょう。しかし、投機人気がピークに達すると、その後の反動は大きなものになりそうです。人気の過熱はいつまでも続くものではありません。非鉄金属銘柄は、10月上旬より急落を続けたものの、本日になって大幅高に転じており、テクニカルも本日で大きく変化しました。近年まれに見るほどにまで高まった「非鉄金属市場の投機人気」ですから、価格が上昇に転じ始めると、これまでの反動により連騰を招く可能性もあります。上海期貨交易所の花形銘柄でもある上海ゴムは、同取引所の大部分を占める非鉄金属銘柄の影響を大きく受けてきました。しかし本日の上海ゴムがストップ高となり、テクニカルも大きく変化しました。相場では、「最も投機人気が高まったところ」や「最も投機人気が低下したところ」にこそ大きなチャンスが潜んでいるものです。そうした意味では、東京ゴムに対して強気な見方をしばらく継続させることも一考ではないでしょうか。
上海ゴムがストップ高まで急騰して前場の取引を終え、その20分後には東京ゴムが8.8円高まで上昇しました。しかし、現在の東京ゴムは6.5円高付近で推移しております。上海ゴムは日本時間の12時半に前場の取引を終え、14時半から後場の取引が開始されます。
NY銅の電子取引は、今朝から3.3%ほど上昇し、この1時間半ほど高止まりしております。一方、先ほどから取引が開始されたNYアルミやNY亜鉛、NYニッケルの電子取引が急騰しております。この流れは、この後のロンドン非鉄金属市場に引き継がれそうです。1ヶ月ほど前から非鉄金属銘柄の急落が続いたものの、本日の非鉄金属銘柄は、「火柱立つ」というところでしょうか。そして、先ほどから取引が開始された複数のNY非鉄金属銘柄が急騰している影響を受けて、このあと始まる上海非鉄金属銘柄の後場の取引では、更に上値追いする可能性もあり、後場の上海ゴムが終始ストップ高張りつきとなる可能性もあります。そうなれば、本日の上海ゴムの夜間取引が更に上昇する可能性もあります。後場から上海ゴムがストップ高張り付きを続けるようでは、東京ゴムは、本日2回目のサーキット・ブレーカーが発動する可能性もあります。
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