原油市場が6月下旬ごろに高値を付け、この2か月ほどで高値からNY原油が13ドル、ブレント原油が14ドルほど下落したことにより、テクニカル的に下値警戒感も漂っている模様。しかし、イラク問題やウクライナ問題がいまだ緊張を続け、地政学的リスクの高まりが警戒されているにも関わらず、それでも下落基調を続けている原油市場は、もはや強材料に反応できないほど地合いが悪化しているのかもしれません。相場分析方法において、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と同様に「材料に対してマーケットがどのように反応するのか?」という事が大切とされております。世界的に著名なファンドマネジャーであるスチュワート・ウォールトン氏は、「ファンダメンタルズ的な要素はおそらくたった25%程度でしょうね。25%はテクニカル的な要因でしょう。マクロのニュース、個別材料などの異なる情報に株価がどう反応するか、これが25%。相対的な市場動向に対する私の直感が残りの25%です。」という名言を残されております。ウォールトン氏は、「材料に対するマーケットの反応」が、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析と同様に重要であることを述べており、私もその考え方に共感しております。そうした「材料に対するマーケットの反応」こそが「相場は相場に聞け」という意味かもしれません。そういう意味では、地政学的リスクに反応できずに下落基調を続けている原油市場は、よほど地合いが悪化しているという事かもしれません。

イラク問題やウクライナ問題の緊張がピークを過ぎたと見方もあるようです。NY原油のファンドなど大口投資家の買い越し枚数も2か月ほど前に近年最高枚数にまで増加したものの、その後、7週連続で減少しており、ファンドによる買いポジションの手仕舞いが続いております。また、日本の原油市場において、NY原油市場より影響力が強いとされているブレント原油市場においては、昨日のICEの発表によると、ファンドなど大口投資家の買い越し枚数が7万2079枚と、2012年7月以来の低水準にまで減少した事が発表されました。しかも、イラク問題やウクライナ問題がいまだ緊張を続けているにもかかわらずここまでファンドの手仕舞い売りが続いていることは、注目かもしれません。EUの統計機関であるユーロスタットが14日発表したユーロ圏18カ国の4~6月期GDP速報値は前期比横ばい(前期比年率換算では0.2%増)となり、1~3月期の0.8%増を下回ったことが発表されました。実質ゼロ成長となったEU経済を象徴するかのように、大西洋周辺国の原油在庫のダブつきがここにきて指摘されるようになりました。また、全米原油在庫のダブつきも指摘されており、商品相場特有の「需給が全てを優先する」という事かもしれません。

しかしながら、原油市場がこの2か月で大きく下落している事から、テクニカル的な下値警戒が必要かもしれません。今後の原油市場においての注目は、WTI原油市場とICE原油市場でのファンドによる手仕舞い売りがどこで一巡するかという事でしょうか。ファンドによる手仕舞い売りが続いている事から、うかつに値ごろ買いもリスクが高く、その一方で、6月下旬より13~14ドルほど一本調子に下落を続けてきた原油市場の下値警戒感も必要であり、現在の東京エネルギー市場では、そうした難しさがあるようです。現在の原油市場では、テクニカル分析でもファンダメンタルズ分析でもそうした難しさがあるようです。そのようなときには、スチュワート・ウォールトン氏の名言からも、「材料に対するマーケットの反応」に注目することも一考かもしれません。目先的には、先週末のウクライナ問題の緊張でも原油市場が小幅上昇程度に留まった事から、「まだ原油市場の地合いが悪化したまま」という事かもしれません。今後、「弱材料でも、それほど下落しなかった」や、「強材料に過剰に反応した」という局面が訪れたら、「原油市場の地合いが改善した」とみて強気開始も面白いのかもしれません。相場が難しく思えたときほど、「相場は相場に聞け」ではないでしょうか。そうした「相場の声」に耳を澄ませておれば、いずれ地合いの変化が「相場の声」として感じられるのかもしれません。