8月上旬からの下落率は、東京ゴム約10%、上海ゴム約20%、シンガポールゴム(RSS3号)約21%となります。ただ、その間にドル円が1ドル=102円付近から6.5円ほど円安に進んだことから、その円安進行分を差し引いて計算すると、ドル円が動かなかったら東京ゴムも8月上旬から約20%下落していた計算となります。本日のタイ輸出業者のRSS3号に対する10~11月FOBオファー価格がキロ=153セントとなり、理論上の輸入採算価格は175.5円となります。しかし、東京ゴムは、期近3本の限月が輸入採算価格を割り込んでおります。上海ゴムの当月限は1万615元付近で推移しており、これを高率課税の10%を差し引いたキロ当たりの円換算にするとキロ=約168.7円換算となり、上海ゴムの期近2本の限月も輸入採算価格を割り込んでいる計算となります。

 本日のタイ輸出業者のRSS3号に対する10~11月FOBオファー価格のキロ=153セントをバーツ換算するとキロ=約49.3バーツとなります。タイゴム協会は今週1日、現在の生産コストがRSS3号でキロ=64.14バーツとなることを指摘しておりました。現在の生産コストがRSS3号でキロ=64.14バーツ(キロ=約199セント=216円換算)となると、産地現物価格がどれほど生産コストを大きく割り込んでいるかが伺えます。また、産地の生産コストがキロ=64.14バーツ(キロ=約199セント=216円換算)であれば、産地の生産コストに対する国内の輸入採算価格は、キロ=約228円換算となりますが、それを東京ゴム当月限が58円ほど下回っております。

 タイ政府は先週末、共同組合や企業が農家から天然ゴムを購入するための融資額300億バーツ「約1000億円」を承認しました。その内訳は、天然ゴム農家からの現物購入に150億バーツ、天然ゴム現物の加工に150億バーツの融資枠が振り分けられます。融資枠の150億バーツ(約500億円換算)により、約30万トンの現物を買い上げることが出来る計算となります。こうしたタイ政府のてこ入れ策により、今後の産地現物価格は堅調に推移することも予想されます。

国際ゴム研究会(IRSG)の5月時点での発表では今年は71万4000トンの供給過剰見通しでしたが、先月18日の発表では、今年は37万1000トンの供給過剰見通しにまで大きく下方修正されました。その理由として、世界的なゴム価格が5年ぶりの水準にまで下落したことにより、生産者の生産意欲が低下したことが原因と説明しております。たった3ヶ月間で今年の供給過剰見通しが大幅に下方修正されるほど産地の生産意欲が低下していたようです。しかし産地価格は、この1ヵ月半で20%ほど下落していることから、更に産地の生産意欲が低下し、今後発表される需給見通しも先月同様に大きく変化する可能性があります。IRSGの先月18日の発表では、来年度分の供給過剰予想を、今年より46%減少して20万2000トンと発表しました。世界の天然ゴム生産高が2012年時点で1138万トンですから、15年度に対して20万トン程度の供給過剰予想なら、需給がほぼ均等しているとみるべきでしょう。それより産地現物価格が先月から2割ほど下落していることから、来年度の見通しが供給不足に転じる可能性もあります。「行き過ぎも相場」といわれることがありますが、これからは、これまでの反動に警戒する時期かもしれません。

東京ゴム日足
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上海ゴム日足
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シンガポールゴム(RSS3号)日足
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