NY原油の電子取引は、昨日20時ごろに79.8ドル付近まで上昇したが、今朝5時ごろに77.2ドル付近まで急落しております。ブレント原油も昨日20時ごろに85.4ドル付近まで上昇したが、現在は82.5ドル付近まで急落しております。NY原油やブレント原油が昨夜の高値から2.6~3ドルほど急落した背景には、今月27日のOPEC総会で減産を決定する可能性が低いとの見方が広がったことが影響した模様。

 OPECのバドリ事務局長は昨日の石油連盟の会合で、最近の原油価格の急落に対し「決めるのは時期尚早だが、個人的には生産枠を引き下げるとは思わない。難しい決定になるだろうが、自分では生産枠の引き下げは全くないと思っている」と述べました。また、クウェートのオメール石油相は同日、「OPEC加盟国が総会で生産枠の引き下げを求めるとは考えていない。」と述べております。OPECのバドリ事務局長やクウェートのオメール石油相からの発言が相次いだことにより、昨夜の原油市場が高値から3ドル前後の急落となりました。

 10日の原油市場では、OPEC総会で減産決定の可能性が低いとの見方から急落しました。しかし、前日の原油市場では、OPEC高官から「1バレル=70ドルならOPECが行動に出る。」や、ドイツ銀行から「ベネズエラの場合、来年の財政収支が均衡するためには1バレル=117.5ドル前後が必要だ。」とのコメントが伝わって原油市場が上昇したことからも、今月27日のOPEC総会に向けて、関係者発言により原油市場が振り回されるのかもしれません。

テクニカル的には、ブレント原油とNY原油が共にこの4ヶ月間で高値から32ドルほど下落していることへの反動に警戒が必要かもしれません。また、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)やゴールドマン・サックス・グループ(ゴールドマン)が先月発表した下値目標である75ドルにまでNY原油が下落してから下値更新していないことから、バンカメやゴールドマンが示した下値見通しまで下落したことで、投資家の間で下落に対する達成感が広がったことも考えられます。そうしたことから、昨夜の原油市場のように弱材料の投入で下落したところは、強気な見方も一考ではないでしょうか。


NY原油の日足
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ブレント原油の日足
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