上海ゴムは、11:00ごろに1%安付近まで下落したが、その後、じり高を続け、引け際にプラス転換となり、0.5%高にまで上昇して取引を終えました。10:45に発表された中国HSBC製造業PMI(12月)速報値が49.5ポイントとなり、市場予想平均を下回ると共に景気分岐点とされる50ポイントを7ヶ月ぶりに割り込んだものの、その発表直後から上海ゴムがじり高を続けたことは注目でしょう。しかも、上海期貨交易所銘柄が全面安となる中で、上海ゴムだけがプラス転換して上昇していることも注目でしょう。

 上海ゴムは、上海期貨交易所銘柄で最も値動きが大きく投機的とされている銘柄ですが、本日の値動きには驚かされました。製造業PMIの悪化や上海期貨交易所銘柄の全面安、そして原油価格の暴落でも上海ゴムが上昇に転じたことは、「よほど地合いが強まってきた」と見るべきかもしれません。中国政府が12万8500トンの政府備蓄を購入することが先週末に伝えられ、上海ゴムが先週末より3営業日連続上昇となっているようです。

 タイのRSS3号現物価格は、本日で7営業日連続上昇となりました。タイの現物価格が上昇に転じた原因は、先週の天然ゴム生産者によるデモと、タイ政府の対応が原因と思われます。タイでは、先週9日に天然ゴム農家によるデモが発生しました。天然ゴム農家は、ゴムシート(RSS)をキロあたり80バーツにまで引き上げることをタイ政府に要求し、要求が聞き入れられなければ、更なる大規模デモを実施することをタイ政府に通達しました。事態を重く見たタイの農業副大臣は、産地現物価格を引き上げるための4つの短期的処置を先週9日に発表しました。タイ政府は、先週11日の閣議にてタイゴム局(RAOT)の設立を承認。RAOTの役割は、天然ゴム価格の安定や天然ゴム産業の監視を進めることを目標としております。今週になると、タイ農務次官から、「タイ政府が60億バーツ(約220億円)規模での政府備蓄を開始」との事が伝えられました。それによると、先週は1日あたり1000トンの政府備蓄購入をしたが、15日から1日当たり3000トンの政府備蓄購入を実施するということです。タイでの天然ゴム市場を取り巻く環境が先週より急変しております。それに上海ゴムが反応し、先週末より3営業日連続上昇となっている模様。


上海ゴムの日足
上海ゴム

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