ブレント原油とNY原油との価格差は、先月下旬に5ドル程度で推移していたが、ここに来て10ドル強にまで拡大しました。全米原油在庫の7週連続増加がNY原油を圧迫し、両原油市場の価格差拡大に繋がったようです。それによりブレント原油とNY原油のチャートに違いが生じており、TOCOMで上場されているドバイ原油(東京原油が改名)としては、どちらの原油市場の値動きをより重視すべきか迷うところでしょうか。このことは、東京バージガソリン(東京ガソリンが改名)や東京バージ灯油(東京灯油が改名)も同じでしょう。

 以前は、ブレント原油とNY原油との価格差が1ドル以内で推移しておりました。しかし、2009年ごろから米国でシェールオイルブームが到来し、米国の原油生産が急増したことで全米原油在庫が2012年ごろから3億7000万バレルを突破して高水準在庫となり、それと共にブレント原油とNY原油との価格差拡大の原因となりました。また、NY原油の受け渡し指定在庫がオクラホマ州のクッシングに限定されていることから、クッシング原油在庫の増加なども両原油市場の価格差拡大の原因となりました。クッシングからメキシコ湾岸への輸送能力低下を受けてクッシング原油在庫が2012年末に5000万バレル付近まで増加し、両原油市場の価格差が一時20ドル程度にまで拡大することもありました。現在の両原油市場の価格差は10ドル強ですが、4月に向けて全米原油在庫が増加傾向を続けるという見通しが米エネルギー情報局(EIA)から発表されていることから、両原油市場の価格差が更に拡大する可能性もあります。

日本は、原油輸入の大半を中東からの輸入に依存しており、中東から輸入された原油を国内でガソリンや灯油などに精製します。そうした背景から、TOCOMで上場されているドバイ原油(東京原油が改名)がNY原油と中東産原油の値動きに近いとされているブレント原油のどちらの影響をよりうけるのかを考える必要がありそうです。また、東京バージガソリン(東京ガソリンが改名)や東京バージ灯油(東京灯油が改名)などもNY原油とブレント原油のどちらのチャートをより参考にするかも考える必要がありそうです。

サウジアラビア石油相が昨夜、「原油市場は落ち着いており、需要は拡大している」と述べました。最近の原油市場では、全米原油在庫の増加がかなり騒がれているものの、ここにきて原油の需要拡大を予感させる発表も出てくるようになりました。昨日発表された2月の中国HSBC製造業PMI(速報値)は、市場予想平均の49.5に対して50.1ポイントとなり、前月から0.4ポイント上昇すると共に景気分岐点とされている50ポイントを上回りました。中国は、米国と共に世界最大のエネルギー消費国ですから、中国主要経済指標の好転は、エネルギー需要の回復を予感させます。また、インド政府は今月9日、本年度(2014年4月〜15年3月)のGDP成長率が7.4%になるとの見通しを発表しました。また同政府は、2014年10~12月期のGDP成長率(改定値)を7.5%と発表し、中国の成長率(7.3%)を上回りました。人口12億人強のインドと人口13億人強の中国の主要経済指標が共に改善方向を示したことは、エネルギー需要の回復を予感させます。米エネルギー情報局(EIA)が今月10日に発表した短期見通しは、「世界の石油需要が1~6月にかけて日量9250万バレルと低調で推移し、7~9月が過去最高となる日量9400万バレル、10~12月が日量9450万バレルにまで増加する」という内容でした。また、国際エネルギー機関(IEA)が1月16日に発表した今年の原油の世界需給見通しは、「1~6月が日量30万バレルの供給過剰、7~9月が日量120万バレルの供給不足、10~12月が日量160万バレルの供給不足」という内容でした。ここに来てインドや中国の主要経済指標が共に改善方向を示したことは、EIAやIEAの見通しを裏付けるものではないでしょうか。

原油市場では、最近の全米原油在庫の増加が気になるところですが、世界最大の人口を誇る中国やインドの主要経済指標の改善も注目でしょう。そして、昨年11月上旬からサウジアラビア石油相が一貫して弱気な見方を示唆する発言を繰り返し、それが原油下落の大きな要因でしたが、一転して同相が昨夜、強気な見方を示唆する発言を行ったことも注目でしょう。そして、中東産原油の輸入に依存している日本のエネルギー市場では、米国の在庫事情より中東の原油事情に注視する必要があるのかもしれません。そして、昨夜のブレント原油が61.7ドルまで上昇した事で、2月17日に記録した年初来高値にあと1.3ドルほどに迫りました。これにより、ブレント原油が強気相場入り後の初押し完了となる可能性もあります。




ブレント原油の日足
ブレント原油の日足2

NY原油の日足
NY原油の日足2

情報提供 : (株)インベステック
※本画面に掲載されている情報の著作権は、インベステック及び各情報提供会社に帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、インベステック及び各情報提供会社は一切の責任を負いません。