サウジアラビアと湾岸諸国は、先週26日からイエメンのシーア派反政府勢力の「フーシ派」に対して空爆を開始しました。サウジアラビアを中心とする湾岸10カ国によるイエメンへの軍事介入は「決意の嵐」作戦と名付けられております。また、アラブ連盟は29日、地域の不安定化の拡大に対応するために合同軍の創設で原則的に合意しました。エジプトのシシ大統領は「アラブの安全保障のために必要な集団機構を発展させる」と述べており、中東のイスラム教スンニ派政権を中心とした足並みがそろっているように感じられます。

 イエメンでは、パキスタンやインド、中国などの人々の出国が始まった模様。中国の軍艦がイエメンのアデン港に入港し、引き上げを始めております。イエメン在住外国人の引き上げが一巡すると、本格的な戦闘となる可能性が高まります。これまで湾岸諸国連合軍は、「フーシ派」の戦略ミサイル、空軍基地及びその他の基地、武器弾薬庫などの空爆を行いました。サウジアラビアが真っ先に空爆したのは、弾道ミサイル基地だったようです。弾道ミサイルによる大気圏を経由してのミサイル攻撃は、サウジアラビアが最も警戒していたようです。これまで「テロや反政府勢力の武器」といえば、「AK72マシンガンと携帯便利なRPG対戦車ミサイル」といったところでしょうか。しかしシーア派反政府勢力の「フーシ派」は、イエメンの国土の大半を既に侵略していることから、イエメンの軍事基地の武器のほとんどを占領しております。このあたりはイスラム国勢力とよく似ております。イエメン在住外国人の引き上げが一巡すると、戦闘が本格化することにより、再び中東の地政学的リスクが高まる可能性もあります。また、イラクの核協議に対し、イラク政府関係者から合意に対する楽観的な発言が続くことから、「合意によるイランへの経済制裁の解除」でイランの原油輸出が増加するとの思惑も今の原油市場を圧迫しているようです。しかし、今回のイランと欧米6カ国との核協議は、あくまで「6月末の包括合意に向けた大枠の方針についての協議」ですから、そのあたりを勘違いしないことも必要かと思われます。米国の原油在庫の増加傾向が気になりますが、日本は中東からの原油輸入に依存しており、TOCOMで上場されているドバイ原油(旧名:東京原油)や東京バージガソリン(旧名:東京ガソリン)は、NY原油より中東の原油市場の影響をより大きく受けることを認識する必要もあります。そうした意味では、イエメン問題やイスラム国問題などこれから中東の地政学的リスクが更に高まる可能性もあるだけに、東京バージガソリンやドバイ原油などの急落後の安値は強気な見方も一考ではないでしょうか。


東京バージガソリン(旧名:東京ガソリン)の日足
東京バージガソリンの日足

ドバイ原油(旧名:東京原油)の日足
東京バージガソリンの日足

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