4月3日

原油市場パート3「石油関連会社の決算発表とドル相場」

 来週8日のアルコア決算発表を皮切りに米国企業の2014年第1四半期(1~3月期)決算発表が本格化します。今月中旬から下旬にかけて米国のS&P500採用企業の大部分の決算発表が行われ、石油関連企業の決算内容や新たな経営方針などが注目されそうです。

 1月中旬から下旬に発表された2014年第4四半期(10~12月期)決算では、多くの石油関連企業から業績の下方修正や大幅な人員削減計画などが発表され、深刻な経営状態が浮き彫りとなりました。そうしたことも、その後の原油価格の上昇に影響したようです。昨年第4四半期(10~12月期)のNY原油は、92ドル付近から52ドル付近まで一本調子に下落しており、平均価格は72ドル程度です。しかし、今年の第1四半期は、42~55ドル付近で推移しており、平均価格は47ドル程度です。それにより今回の石油関連企業による決算発表では、前期決算発表時より更に深刻な内容となる可能性が高まっており、原油上昇の支援材料となりそうです。

最近の米国経済指標が悪化していることや、9ヶ月間も続いた主要通貨に対するドル高基調により、今回の米国企業による決算発表が悪化するとの見方もあります。「強力な円高が9ヶ月続けば、日本経済がどうなるか?」を考えれば、今の米国経済が解かり易いのではないでしょうか。今週1日に発表された3月の米ISM製造業景況指数が51.5ポイントまで低下し、景気分岐点とされる50ポイントに迫っております。これまで米国の堅調な経済成長を背景にドル高が進み、早期利上げ懸念が台頭してきました。また、この9ヶ月間のドル高基調は、ドル建て商品であるNY原油の下げ足が早まった要因ともなりました。しかし、これからドル安基調に変化することになれば、NY原油がしばらく上昇を続ける可能性もあります。それは、円安になれば東京バージガソリンなどが上昇するのと同じ考え方です。そして、ドルインデックスに対する日本円通貨の構成割合が13.6%でしかないことから、主要通貨に対するドル安基調が始まっても、ドル円がそれほど円高に進むこともないのかもしれません。今月の原油市場は、中東の地政学的リスクの高まりや春のドライブシーズン需要、石油関連企業の決算発表、ドル安基調などにより堅調に推移すると見るべきかもしれません。