4月14日

原油市場パート5

 イランは13日、イエメン新政府の発足を求める考えを表明しました。これに対し、バディ大統領政権を支持するサウジアラビアを中心とする中東10カ国連合の反感を招く可能性が高まっております。サウジアラビアを中心とする中東10カ国連合は、先月26日からバディ大統領政権を支持するためにイエメンのイスラム教シーア派武装組織の「フーシ派」に対する空爆を行っております。それに対してイラン最高指導者のハメネイ氏は9日、空爆に対して「大量虐殺」と厳しく非難し、「攻撃で勝利を収めることはない」と述べております。バディ大統領政権はイスラム教スンニ派政権です。それに対して「フーシ派」がイスラム教シーア派となることから、スンニ派の中心的存在となるサウジアラビアと、シーア派の中心的存在となるイランとの対立がより激しくなってきたようです。

 ロシアのプーチン大統領は13日、イランへの地対空ミサイルシステム「S300」の禁輸措置を解除することを発表。この高性能地対空ミサイルは、2000年の国連決議でイランへの輸出が禁止されていたものの、今回の欧米6カ国とイランとの核協議が「枠組み合意」となったことを受けてロシアが輸出を決定しました。これがイランを経由してイエメンの「フーシ派」に渡ることが懸念されております。それに対して国連安保理事会は本日14日、イエメンのシーア派に対し、暴力の停止と制圧地域からの即時撤退を要求し、フーシ派への武器禁輸措置を定めた湾岸協力会議(GCC)主導の決議案を採決することを決定しました。そして、常任理事国であるロシアが拒否権を使わずに棄権に留めれば、決議案が賛成多数で可決される見通しです。イエメンのフーシ派問題に対してイランやロシアが関与を強めており、イエメンを舞台としての代理戦争の様相が強まっているようです。こうした中東の地政学的リスクの上昇が、原油価格の底上げ要因となりそうです。