最近の中国の複数のサイトでは、「アジアインフラ投資銀行設立」に向けた非鉄金属や天然ゴムへの投資人気が高まりつつあることを指摘しております。日米が主導するアジア開発銀行では賄いきれない増大するアジアにおけるインフラ整備のための資金ニーズに、代替・補完的に応えるということを目的として、2013年10月に中国がアジアインフラ投資銀行の設立を提唱しました。そして中国政府は今月15日、アジアインフラ投資銀行の創設メンバーの57カ国を発表しました。当初の資本金を500億ドルとし、最終的に1000億ドルとする計画であり、出資の75%をアジア地域、残り25%をアジア地域以外から調達し、年内開設の計画となっております。

「アジアインフラ投資銀行設立」に向けて上海非鉄金属銘柄や上海ゴムなどが上昇基調を鮮明にしてきたようです。上海銅はこの3ヶ月間で約14%の上昇です。また、この1ヶ月間で上海亜鉛が約13%、上海鉛が約10%の上昇となり、共に今月になってから上昇基調を鮮明にしております。上海ゴムは、上海非鉄金属銘柄全体の上昇基調開始から一歩遅れる形となり、1週間ほど前から上昇基調を鮮明にしてきました。アジアインフラ投資銀行の設立により、アジア地域でのインフラ工事が増加するとの思惑から、インフラ建材料への投機人気が中国で高まり始めているようです。

中国人民銀行が昨年末より2回にわたる利下げを実施し、中国政府が全人代後に新たな政策が発表されたこにより、中国金融市場全体が活性化し始めたように感じられます。そして、先月30日に中国の住宅購入規制が緩和されたことや、先月31日に中国の新たな預金保険制度により50万元(約980万円)までの預金を保護する方針が発表されたことを受けて、中国金融市場全体が更に堅調さを増していることも、同国でのコモディティー投資を後押ししているようです。それに加えてスリトラン・アグロインダストリーなどアジアの大手ゴムメーカーがシンガポールゴム取引所(SICOM)の指標価格付近での価格設定をやめ、大幅な値上げを行う計画を表明したことを受けて上海ゴム市場への投機人気が高まり始めたようです。

中国金融市場では、上海総合株価指数がこの8ヶ月間で約2倍強にまで急騰していることにより、株式市場に対する高値警戒感もかなり高まっていることから、投機人気が株式市場からコモディティー市場に向い始めているようです。それにより非鉄金属銘柄や天然ゴムなど中国のコモディティー銘柄全体が上昇基調を鮮明にしてきたようです。