ゴールドマン・サックスより今週25日に発表されたレポートで原油価格見通しが引き下げられた反面、JPモルガン・チェースより今週26日に発表されたレポートで原油価格見通しが引き上げられました。ゴールドマン・サックスは、「足元の市場を左右するのは、最近の価格持ち直しに米生産業者がどう反応するか、そして低コスト体質の生産業者が高い生産性を維持できるかだ。原油価格が60ドルになると、シェールオイルの生産意欲は高まる。」と指摘しております。しかし、JPモルガン・チェースは、「世界の経済成長と原油需要の高まりにより、従来の予想以上に原油価格が押し上げられ、原油相場は底を打った。」と指摘しております。ゴールドマン・サックスが、4~6月期に日量190万バレルの供給過剰となるとの見通しを示したことに対し、JPモルガン・チェースは、原油需要の高まりを指摘しております。そして、ゴールドマン・サックスが今年10月までに45ドルまで下落する可能性を指摘しことに対してJPモルガン・チェースは、2015年は54ドル、2016年は59ドルまでWTI原油の価格見通しを引き上げました。

イラク政府は26日、同国最大のアンバル州からイスラム国勢力を掃討する作戦を開始したことを発表しました。作戦には、イラク陸軍と警察、スンニ派武装集団と政府が支援するシーア派など計5000人強が参加しているそうです。しかし、同国中部~東部のアンバル州には、イスラム国勢力の占領地はそれほど多くありません。既に同国の半分近くがイスラム国勢力に占領されているだけに、イラク政府の影響の及ぶ地域周辺の地盤固めに動き出したようです。ただ、同国が大手石油輸出国であることから、石油施設への影響が警戒されるところでしょうか。

リビア東部で26日、リビア暫定政府となるシンニ首相の乗車している車が銃撃されたことも伝わっております。シンニ首相は無事でした。リビアは現在、2つの政府が併存する状態にあります。首都トリポリで政権樹立を宣言した政府とは別に、シンニ首相率いる暫定政権が東部都市のバイダで政権樹立を宣言しております。両政府は、度々戦闘を行っております。また、反政府派武装組織と政府軍との戦闘も続いております。リビアでは、24日にもリビア国営石油会社がチャーターした石油タンカーが爆撃を受けており、地政学的リスクの上昇が警戒されております。