今週の東京ゴムの急騰は、あまりにも多くの強材料が重なったことが要因となりました。それらの強材料は、①産地大手ゴムメーカーの安値非売運動の広がり、②タイ政府の価格引き上げ方針、③長引く減産期、④プランテーションの大幅縮小、⑤強烈な円安進行、⑥4カ国連合の誕生、⑦東京ゴムの産地現物価格に対する大幅割安換算などが挙げられます。

①は、インドネシアの大手ゴムメーカーであるスリトラン・アグロインダストリーとハルシオン・アグリが大幅な価格引き上げ計画を表明し、インドネシアやタイの複数の大手ゴムメーカーがそれに賛同したことです。スリトラン・アグロインダストリーの広報担当者は、「シンガポールゴム取引所の相場はもはやゴム生産の実際のコストを反映していない。」と述べ、シンガポールゴム取引所への受け渡しをやめることを表明しました。スリトラン・アグロインダストリーとハルシオン・アグリの天然ゴム生産高は、世界全体の2割を占めます。そうした産地での安値非売運動の広がりが注目されております。

 ②は、タイ農業協力部から「タイ政府は2ヶ月以内にRSSをキロあたり65バーツにまで押し上げる計画をしている。」ということが伝えられたことです。それにより今月上旬からの東京ゴムや上海ゴムの下落基調に反してタイの現物価格がじり高基調を続けております。タイ政府の政策を受けてゴムプランテーションが大幅縮小となり、タイのRSS3号現物価格が昨日時点で61.59バーツまで上昇しております。

③は、インドに記録的な熱波が到来し、タイでも乾燥気候が続いていることから、天然ゴムの長引く減産期が指摘されていることです。タイのパイナップルは、干ばつの影響で出荷価格が2倍ほどに急騰しました。例年であれば、6月になるとタイが雨季入りとなり、天然ゴムの生産高が増加に転じます。しかし、春頃からエルニーニョ現象が活発化し始めたことを受けて、タイの雨季入りが遅れると見られております。赤道上の海水面上空には、暖かい海水温の影響で雲が多く発生し、その雲を熱帯集束帯といいます。熱帯集束帯が発達している時に衛星写真を見れば、赤道の海面上空に雲が帯状に広がっているのが確認出来ます。しかし、現在の衛星写真では、東南アジア側に熱帯集束帯がほとんど確認出来ません。エルニーニョ現象になると、赤道上の南米側海面温度が上昇し、東南アジア側海面温度が低下します。それにより、海面温度が上昇した南米側の熱帯集束帯が発達して大雨を降らせ、海面温度が低下した東南アジア側の熱帯集束帯が勢力を弱めて干ばつを起こすとされております。気象庁は、秋にかけてエルニーニョ現象が続く見通しを発表しております。それにより、天然ゴムの長引く減産期が警戒されております。

④は、タイの農業担当副大臣が同国天然ゴムプランテーションを100万ライ(16万ヘクタール)減少させたことを発表しており、2015年の同国天然ゴム生産が従来見通しの440万トンから390万トンに減少する見通しとなったことを発表したことです。これにより、今年の世界需給が供給不足に転じる可能性が高まっております。

⑤は、ドル円が1ドル=124円台にまで急騰したことです。更なる円安進行に注意が必要となりそうです。

⑥は、天然ゴムの3カ国連合(タイ、インドネシア、マレーシア)にベトナムが加盟することとなったことです。これまでの3カ国連合が4カ国連合となり、新たに発足した4カ国連合は、「世界生産の70%を占める4カ国連合の協力が、ゴム価格を後押しする原動力となる。」と述べており、価格テコ入れに対して前向きな姿勢を示しております。

⑦は、昨日のタイのRSS3号オファー価格(189セント)を円換算すると、1.89ドル×123.8円=約234円換算となり、輸入諸経費をキロあたり5円で計算すれば、輸入採算価格が約239円となることです。それにより東京ゴムの当月限が、輸入採算価格を14円ほど下回っている計算となります。東京ゴムが26日から3連騰しましたが、それでも輸入採算価格を大幅に下回っているようです。それにより、東京ゴムの急騰に警戒するところかもしれません。