来週の穀物市場は、6日の米農務省による育成進度報告や10日の米農務省による需給報告などが注目されます。特に毎月10日前後に発表される「米農務省による需給報告」は、穀物市場に最も大きな影響を与える発表の1つです。米トウモロコシの収穫期が10月中旬~11月中旬となることから、収穫期までの天候相場期間での「米農務省による需給報告」は、7月発表と8月発表、9月発表、10月発表の計4回だけです。この4回の発表がとても重要となります。

「米農務省による需給報告」の月ごとの注目点は、下記の通りです。

1月―需給予想(前年の最終確定生産高の発表)

3月―作付け意向面積調査結果

5月―新穀の需給予想

6月―確定作付面積の発表

7月―需給予想(確定作付面積に基づく生産高見通し)

8月―8月1日現在の実地調査に基づく単収予想

9月―需給予想

10月―需給予想

11月―需給予想

来週10日に発表される「米農務省による需給報告」では、「生産高見通し」が注目されます。6月28日終了週のトウモロコシの優と良の占める割合が前年同期を9%下回り、シルキングが平年を4%下回っていることに加えて、作付面積が過去5年間で最低水準と発表されていることから、トウモロコシの強気派は、「平年以下の生産高見通し」に期待するところかもしれません。6月の需給報告では、2015~16年度の単収が1エーカー当たり166.8ブッシェル、2014~15年度の単収が171.0ブッシェルでしたので、現在の作柄を参考にすると、2015~16年度の単収が162ブッシェル付近まで低下し、期末在庫が4%強低下する可能性もあります。また、アジア圏の複数の国から深刻な熱波被害や干ばつ被害も報告されていることから、アジア圏の穀物生産高見通しの下方修正により米国のトウモロコシ輸出見通しが増加し、それを受けて米国の期末在庫予想が低下することも予想されます。
 シカゴコーンのファンドなど大口投資家のポジションが1年3ヶ月ぶりに今年5月から売り越しに転じております。また、東京トウモロコシ市場のファンド系機関店とされるN社の大幅売り越しも気になります。ファンドが売り越しポジションを構築しているところに「平年以下の生産高見通し」が発表されることになれば、「ファンドによる手仕舞いの買戻し」が強制される展開となり、「ファンドによるドテン買い」でシカゴコーンが本格上昇に転じる可能性もあります。
 シカゴコーンは、6月15日の安値(346.75セント)から7月1日の高値(417セン)まで20.26%の上昇となっていることから、更に小幅高となるだけで強気相場入りとなります。シカゴコーンの電子取引では、6月15日の安値から22.9%の上昇となり、強気相場入りとなっております。シカゴコーンはシカゴ・ボード・オブ・トレードで取引され、シカゴコーンの電子取引はCMEグローベックスで取引されます。
 米農務省から「7月5日終了週の育成進度報告」が来週6日に発表されます。これまでの育成進度報告は、雨がちな天候により3週連続で作柄が悪化しました。来週6日の発表では、現在の天気予報を参考にすれば作柄改善され、「優と良の占める割合が1~2%程度の上昇」となる可能性もあります。ウエザーニュースによる天気予報では、来週5日にかけての降水量がかなり低く、3日~5日は晴れの予報です。そうした意味では、シカゴコーンにとって週明けの育成進度報告がマイナス要因となる可能性もあります。「上げ相場の悪材料は買い」という相場格言もあり、育成進度報告で売られたところは、良い買い場となるのかもしれません。

東京とうもろこしの日足
東京とうもろこしの日足2

本画面に掲載されている情報の著作権は、インベステック及び各情報提供会社に帰属しており、無断で使用(転用・複製等)することを禁じます。提供している情報の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、インベステック及び各情報提供会社は一切の責任を負いません。