今年前半の商品先物市場の人気を集めたのは、「原油市場の安値からの上昇」でしょう。NY原油が42ドル付近から62ドル付近まで5割ほど上昇したのですから、投機人気も高まりました。しかし、NY原油が60ドルを超えてから上昇力がなくなり、6月下旬から下げ足を早めております。原油価格が60ドルを超えると、シェールオイル生産の増加も予想されることから、今年後半の人気化は、難しいものがあります。一方、NY金は、安値低迷しながら5月中旬頃からじり安の展開となっております。今年の秋から冬にかけて米国が利上げを始めるとの見方から、利上げ前にNY金を好んで買う投資家も少なそうです。米国金利が上昇期に突入すれば、「金利が付かない金現物」のネガティブ要因が投資家の金への投資を鈍らせます。金投資最大の魅力でもある「リスクヘッジの金」ですが、ギリシャ問題や中国株暴落によりマーケット全体がリスクオフの流れとなってもじり安を続けるNY金に対し、失望している投資家も多いのではないでしょうか。今年後半は、エネルギー銘柄や貴金属銘柄の人気化が難しいように感じられますので、商品先物市場の投機人気が穀物市場に集中する可能性もあります。国内の商品先物市場では、貴金属市場やエネルギー市場に対して東京とうもろこし市場の規模は小さなものがあります。しかし、米国の商品先物市場では、NY原油の次に大きな取組高を誇っており、6月30日時点で取組高が130万枚を超えております。

 最近のギリシャ問題やイラン核協議問題、米金利引き上げ問題、中国株問題に飽きた投資家は、穀物市場に魅力を感じるのかもしれません。米国が利上げを実施したり中国株が急落したからといって、世界の穀物需要はほとんど影響を受けません。春から秋にかけての穀物相場は、「天候相場」の時期を迎え、天候に左右されるという極めてシンプルな相場動向も、今の混沌とした世界経済の動向に飽きた投資家にとって魅力的な相場となることでしょう。今年は、春からエルニーニョ現象が発生しており、年末に向けて勢力を高めると予想されているだけに、エネルギー市場や貴金属市場、そして株式市場からも投機人気が穀物市場に向う可能性を秘めております。貴金属市場やエネルギー市場に対して魅力を感じられなくなった投資家は、東京とうもろこし市場に注目することも一考ではないでしょうか。


東京とうもろこしの日足
東京とうもろこしの日足

シカゴコーンの月足
シカゴコーンの月足

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