最近の原油市場や貴金属市場、ゴム市場などは、中国株暴落の影響を大きく受けております。原油や貴金属、ゴムなどの中国消費の多さを考慮すると、「中国株暴落→中国経済成長の減速→中国消費の減退」という事を連想する事から、中国株暴落が商品市場全体に大きな影響を及ぼす事となりました。

8日の中国株式市場は、上海総合株価指数が8%安付近で寄り付き、5.9%安で取引を終えました。そして、1300銘柄を超える全体の45%ほどの銘柄が売買停止となる異常事態となりました。売買停止とストップ安に陥った銘柄が全体の71%に達したのですから、まさにパニック的な状況となりました。特に小型株の多くが売買停止に陥りました。当初は多くの投資家が優良銘柄を保有しようとしていたが、小型株の売買停止が相次いだため、優良銘柄への狼狽売りが加速したようです。中国株式市場は、個人投資家の比率が極めて高い市場であり、この1年間で信用取引の割合が2倍ほどにまで高まっていただけに、個人投資家の多くがパニック売りに陥ったようです。

最近の中国株暴落により、非鉄金属市場も暴落しました。非鉄金属銘柄の多くが5月中旬まで上昇基調を続けていたものの、6月からの中国株の急落に同調して下落トレンドに突入しました。5月中旬の年初来高値からNY銅が約20%、NY亜鉛が約21%、NY鉛が約22%の大暴落となりました。こうした影響が最近の上海ゴムにも波及したようです。しかし、昨日15時半頃からNY銅の電子取引が5.3%、NY亜鉛の電子取引が4.9%、NY鉛の電子取引が5.5%の急騰となりました。持ち株比率5%以上の株主を対象に半年間の株式売却禁止措置が発表された事や、5兆円規模の経済支援策が発表された事により、非鉄金属銘柄が昨日15時半頃から急反発に転じたものと思われます。

中国証券監督管理委員会(CSRC)は8日、持ち株が5%以上の株主を対象に向こう6カ月間、株式売却を禁止する措置を発表しました。この発表はかなり衝撃的な発表です。事実上、持ち高比率5%以上の大口投資家の株式売却が禁止された事になります。そして、中国国務院は8日、中国経済で支援が最も必要な分野の成長を促すために2500億元(約5兆円)の支出を行うと発表しました。非鉄金属銘柄の多くが5月下旬頃から急落を続けてきたが、ここにきて初めて急反発に転じた事は、「中国株の上昇」を暗示しているように感じられます。「持ち高比率5%以上の大口投資家の株式売却を半年間禁止」という極めて異例の対策に、中国政府の株式下落を食い止める本気度を感じさせます。非鉄金属銘柄の多くが、5月下旬頃からの下落トレンドで初めての急反発となった事は、商品市場全体の「反転上昇」を暗示していると受け止める必要がありそうです。それによりここは、原油市場や貴金属市場、ゴム市場などの絶好の買い場となる可能性もあります。

マーケットの関心が中国株問題に集中しておりますが、これからのマーケットの関心が「米国企業の第2四半期決算」に向かう可能性がありそうです。米国企業の第2四半期決算発表シーズンは、7月8日のアルコアの決算発表を皮切りにスタートしました。今年の米国経済は、1~2月が寒波の影響で悪化しました。しかし、4月頃から米国の経済指標の多くが改善したことで、今回発表される「第2四半期決算」は、前期の「第1四半期決算」から大幅な改善が示される可能性も高まっております。それにより米国経済の堅調さが改めて示されれば、現在のマーケット全体に広がる「リスクオフの流れ」が払拭され、マーケット全体が再び「リスクオンの流れ」へと変化する可能性もあります。そうなれば、これまでのリスクオフの流れで急落を続けてきた貴金属市場や原油市場、ゴム市場などが急反発に転じる可能性もあります。昨日15時半頃からの非鉄金属銘柄の急反発が、「マーケット全体に広がるリスクオフの流れ」の終焉を暗示しているのではないでしょうか。ここは、これから始まる米国企業の第2四半期決算を見据えて、東京白金や東京バージガソリン、東京ゴムなどを強気するところではないでしょうか。