シカゴコーンは、7月16日に438セントまで上昇しましたが、天候予報の改善を背景に364セント付近まで急落しました。結局、シカゴコーンは、6月30日の米農務省発表時以前の水準まで下落しました。米農務省から6月30日に発表された作付面積と四半期在庫が大方の増加予想に反して減少したことで、シカゴコーンの連騰が始まりました。天候が少し改善しようとも、作付面積が増える訳ではありません。それを考えると、突っ込み警戒を高め、再び買い場探しも一考かもしれません。


(米中西部におけるトウモロコシの育成カレンダー)

7月中旬~8月上旬=シルキング

タッセリング初期からさらに5~6週間後、とうもろこしの種実部の先端から細長い絹のような糸が出てくる。これをシルキングといいます。

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7月中旬~8月上旬=受粉

雄穂(タッセル)から放出された数百万個の花粉が、6~15メートル以内にあるめしべ(シルク)に付着して受粉する。この時期は適切な湿度が必要であり、摂氏38度以上の高温になると受粉障害が発生し、受粉率が低下する。

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8月中旬~下旬=ミルクステージ

受粉から2~3週間経過すると、穀粒がミルクのような状態になる。この時期に澱粉や蛋白を形成する。

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8月下旬~9月中旬=ドウステージ

ミルク状の中身が徐々に柔らかい固まりになってゆく過程です。この時期に早霜に襲われると次の生育段階に進まなくなり、ソフトコーンになってしまう。

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9月中旬~10月上旬=デントステージ

ドウステージから約3週間たつと実に窪みができる段階に入る。デントステージもドウステージ同様に固まっていく過程ですので、基本的には乾燥した天候が望ましい。この段階までくれば霜の被害は軽微です。

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10月上旬~11月上旬=成熟期

デントステージから約2週間でとうもろこしの成熟は完了します。ただし、成熟しても穀粒の中の水分はまだ高く20%以上です。

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10月中旬~11月中旬=収穫期

天候を見ながら収穫のタイミングを図ることになります。

以上が米とうもろこしの育成カレンダーです。


現在は、シルキングの後半であり、受粉期の真っ只中です(米中西部が広大であることから、地域により受粉期も違ってきます)。それにより「米中西部穀倉地帯の天候」に注目が集まっております。そして9月11日の米農務省による需給報告の発表に向けて「米中西部穀倉地帯の天候」への注目が続きます。しかし、9月の需給報告発表を過ぎると、9月中旬頃からシカゴコーンが需給相場の様相へと変化します。収穫は10月中旬からとなりますが、相場は1歩~2歩先を見越して動きます。

エルニーニョ現象が来年の春先頃まで続く可能性も高いことや、EUのトウモロコシ生産が熱波や干ばつの影響を受けていること、中国気象局も同国トウモロコシ生産がエルニーニョ現象の影響を受ける可能性の高いことを伝えていることなどから、需給相場に突入してからのシカゴコーンが上昇力を強める可能性もあります。どうしても天候相場中のシカゴコーンは、「米中西部穀倉地帯の天候」にばかり注目が集まります。しかし、需給相場に突入すると、米国産トウモロコシの輸出状況に注目が集まります。EUや中国、東南アジアなどがエルニーニョ現象の影響でトウモロコシの生産量を落とすことになれば、それらの国が米国産トウモロコシの購入量を増加させることになり、需給相場でシカゴコーンの上げ足が強まる可能性もあります。また、年末に向けてエルニーニョ現象の勢力が高まることも予想されていることから、ここからの「シカゴコーンの天候相場後半戦」も注目でしょう。現在の米中西部穀倉地帯の天候予報が「比較的良好」となっているだけに、それがいつまでも続くとは限りません。