会員の皆様に本日午前中にメールにて配布した記事の一部を紹介します。

10月29日

トルコリラ「トルコ中銀が利上げ示唆」

 トルコのバシュチュ中銀総裁は28日、今年と来年のインフレ見通しを引き上げると共に利上げを示唆しました。それによると、2015年末時点でのインフレ見通しを7.9%とし、前回見通しの6.9%から引き上げました。バシュチュ中銀総裁は28日の記者会見で、「FRBが利上げすれば、トルコも利上げするといっても完全な誤りではないかもしれないし、トルコはインフレ見通し次第でその方向性に動く可能性がある。」と述べました。バシュチュ中銀総裁が利上げを示唆したことにより、これまで13年間も利下げによる緩和政策を推し進めてきたエルドアン政権との対立から、11月1日のトルコ総選挙の行方が注目されることになりそうです。

 トルコのエルドアン大統領は8月26日の総選挙に向けた演説で、「投資を促進するためには利下げが必要だ。」と述べ、利下げによる緩和政策で経済成長路線を推し進める姿勢を改めて示しました。エルドアン大統領は、6月の総選挙前にも利下げによる緩和政策を繰り返し述べておりました。13年前にエルドアン政権が発足し、トルコの政策金利が当時の16%台から今では7%台まで低下しました。トルコ中銀は、トルコリラ下落阻止の為に2014年1月に政策金利を4.5%から10%にまで大幅利上げを実施したことがありますが、それによりエルドアン政権からかなり反感を買ったようです。その後、トルコ中銀は利上げを一度も行っておりません。最近では、トルコのエルドアン大統領に対して批判的なコメントを掲載した報道関係者やその報道幹部が大量に逮捕されたことは有名です。過去1年間で500名近い報道関係者が逮捕されたとの報告もあるほどです。それほど厳しい報道弾圧をしているとされるエルドアン政権に逆らってまでバシュチュ中銀総裁は利上げを続けることが出来なかったのではないでしょうか。しかし、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党が6月の総選挙での獲得議席が過半数割れとなり、最近の世論調査でも「獲得議席が過半数割れ濃厚」との調査結果となったことから、ここに来てバシュチュ中銀総裁が利上げを示唆したのかもしれません。11月の総選挙でエルドアン大統領率いる与党・公正発展党の獲得議席が過半数を占めることになれば、エルドアン大統領が推し進めてきた「利下げによる緩和政策」が継続される可能性も高まります。しかし、与党・公正発展党の獲得議席が過半数割れとなり、連立政権を余儀無くされることになればトルコ中銀による利上げが実施される可能性も高まります。

調査会社のメトロポールが9月2~5日に2540人を対象に行った世論調査では、エルドアン大統領率いる与党・公正発展党の支持率は、6月の総選挙時の40.9%から41.4%にまで少し上昇したものの、単独過半数を獲得するのは困難との見方となっておりました。11月21日のガランティ証券会社による集計によると、「9月以降の8つの世論調査では、与党・公正発展党の予想獲得議席数は6月の総選挙時の258から7議席上積みの265議席に留まり、単独過半数(276)に及ばない見込み。」との内容でした。11月1日の総選挙がこれまでの世論調査どおりの結果となれば、13年続いたエルドアン単独政権体制が崩壊し、トルコ中銀が利上げを実施する可能性も高まりそうです。ただ、6月の総選挙に続いて11月の総選挙でも与党・公正発展党の獲得議席が過半数割れとなれば、一時的に「政治的な不透明感」の高まりでトルコリラが売られる可能性もあります。しかし、昨夜のFOMC声明で米国の12月利上げの可能性が高まったことから、米国と同時にトルコが12月に利上げに動く可能性もあります。バシュチュ中銀総裁の昨日の「FRBが利上げすれば、トルコも利上げするといっても完全な誤りではないかもしれないし、トルコはインフレ見通し次第でその方向性に動く可能性がある。」という発言の意味が今後のトルコリラの動向で重要性を増しそうです。ここは、トルコ中銀による利上げの可能性に注目し、11月1日の総選挙でエルドアン大統領率いる与党・公正発展党の獲得議席が過半数割れとなれば、一時的に「政治的な不透明感」の高まりでトルコリラが売られところを「押し目買い」で考えることも一考ではないでしょうか。
トルコ政策金利
トルコリラ・円の日足
トルコリラの日足


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