本日は、このあと11:45に中国の財新製造業PMI(11月)や財新サービス業PMI(11月)の発表が控えております。前月発表の各種PMIが大幅上昇に転じただけに、今月発表値も大幅上昇となれば、中国関連銘柄が上昇基調に転じる可能性もあります。



下記のコメントは、11月18日に製作した過去記事です。参考にしてください。



11月18日

資源価格&資源国通貨

 NY白金が7年ぶりの安値を記録し、NY金が5年ぶりの安値を記録すると共にNY銀が1950年のデータ開始以来で最長となる13営業日続落となりました。また、NY銅が6年ぶりの安値を記録しており、非鉄金属や貴金属の下落基調が6月頃から続いております。工業用金属全般の約3割強を中国が消費していることから、6からの中国株の急落を受けて非鉄金属や貴金属の下げ足が早まりました。しかし、上海総合株価指数が8月末頃から上昇に転じており、同株価指数が8月26日の年初来安値(2850ポイント)から11月17日の高値3678ポイントまで約29%の上昇となったにもかかわらず、いまだに非鉄金属や貴金属の多くが下落トレンドを続けていることに疑問を持つ投資家も多いのではないでしょうか。

 米CFTCが16日に発表したデータによると、NY銅におけるファンドの売り越し枚数が前週比39%増となり、2014年1月以来の大きさで増加しました。RJOフューチャーズのストラテジストは、「銅市場はこれまで私が見てきた中で最悪の市場の一つだ。需要は現在のところ基本的にないに等しく、こうした状況は全て今夏に中国株が急落した時に始まった。」と述べております。資産運用会社であるコロンビア・スレッドニードル・インベストメンツの商品市場担当者は、「中国の株式取引が最初に制限されたとき、われわれは中国人投資家による銅の激しい売りを目撃した。それはリスクを売るはけ口だった。」と述べております。また、資源メジャーであるグレンコアのCEOは、「全く理屈に合わない。われわれは銅在庫と相場がこのような水準まで減少したのをみたことがない。こうした水準だと、通常は銅相場がはるかに大きく上昇するものだ。」と述べております。現在の世界主要3取引所の銅在庫は、世界消費の1週間弱程度しかありません。それでも銅市場を中心として非鉄金属市場全体が下落トレンドを続けているのです。中国当局が株式取引を制限し始めた7月初め以降、中国の株価指数先物の取引高が約97%減少しました。その反面、上海銅の取引高が2倍近くに増えました。こうしたことからも、中国株保有投資家のリスクヘッジの手段とされてきた中国株の株価指数先物へのヘッジ売りが規制強化により難しくなったことで、非鉄金属銘柄などが「中国株のヘッジ売りの対象」とされているようです。こうした非鉄金属市場に対するヘッジ売りの流れは、2週間後に発表される各種PMIや11月の中国乗用車販売台数などにより大きく変化する可能性もあります。

 中国汽車工業協会(CAAM)発表による中国乗用車販売台数(小売ベース)は、今年4月から前年同月を割り込み続け、8月が前年同月比-3%でした。しかし、9月が+2.1%の200万台となり、10月が前年同月比+11.8%の220万台となりました。中国当局が9月末にエコカー減税を発表した効果が表れたようです。また、米調査会社であるオートデータによる発表では、10月の米国新車販売台数が前年同月比13.6%増の145万5516台となり、2ヶ月連続で大幅な伸びを記録しました。中国当局が9月末に「エコカー減税」と「住宅購入支援策」を発表したことにより、中国における10月の乗用車販売台数と住宅指標が大幅な改善を見せました。それを受けて中国の10月の財新製造業PMIが1.1ポイント上昇、財新サービス業PMIが1.5ポイント上昇、コンポジット(製造業&非製造業)PMIが1.9ポイント上昇となり、再び中国経済の成長に力強さが戻りました。特に財新コンポジットPMIが49.9ポイントまで上昇して景気分岐点とされる50ポイントまであと0.1ポイントに迫っており、12月1日の発表で景気分岐点とされる水準を大きく上回る可能性も出てきました。更に、来月10日前後に発表される11月の中国乗用車販売台数が今回同様に大幅な伸びを記録することになれば、資源価格や資源国通貨が上昇トレンドに転換することも考えられます。


中国製造業PMI