サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は27日、「OPEC内の溝は埋まりつつある。28日の協議で増産凍結合意が得られるとは思わない。イランとリビア、ナイジェリアは近年で最高水準の生産量を認められるべきだ。その3カ国の生産量で意見の一致がみられれば、年内にも増産凍結で合意することは可能だ。」と述べました。

 リビアとナイジェリアは、反政府勢力による石油施設への攻撃によりこの1~2年間で石油生産を大幅に減少させました。そうした背景を無視してリビアとナイジェリアに増産凍結合意させることは、かなり無理があります。また、イランは、核開発問題による経済制裁が10年ほど続き、その間の同国石油生産と石油輸出が激減しました。しかし、昨年秋の先進6カ国とイランとの核協議が最終合意に達し、年初からイランへの経済制裁が解除されました。それによりイランの石油生産と石油輸出が増加傾向を続けております。そうした背景を無視してイランへ増産凍結合意させることもかなり無理があります。イランやリビア、ナイジェリアの3カ国を「例外」として、それら3カ国以外で増産凍結合意を執り行うこともいささか無理がありそうです。このあたりの問題が解決するまでは、増産凍結合意は難しそうです。

ゴールドマン・サックスは、10~12月期のWTI原油価格見通しを従来見通しの50ドルから43ドルに引き下げました。それに対してゴールドマン・サックスは、「主要産油国が増産凍結で合意する可能性が短期的な価格支援材料となっても、膨らむ余剰原油がこれを上回る。」と指摘しております。米国では、夏場のエネルギー需要の最盛期を終えて、エネルギー需要の不需要期に向かっております。米国のエネルギー需要の最盛期は7~8月と12月となり、その頃の米製油所稼働率は93~95%付近まで上昇します。その反面、エネルギー需要の不需要期は10月と2月であり、その頃の米製油所稼働率は86%付近まで低下します。これから米製油所稼働率が低下を続けるシーズンとなることから、米原油在庫の増加傾向に警戒する時期となるのかもしれません。

26日から始まった今回の産油国会合は、3日目となる本日が最終日となります。本日の会合で増産凍結合意に達することが出来なければ、原油市場で失望売りが進むことも考えられます。