CFTCから先週末に発表されたNY原油におけるファンドの買い越し枚数は、前週比1万7845枚増の48万2523枚となり、7週連続で42万枚を超えており、ファンドの買い進みに対する過熱感が感じられます。ファンドが買い進む理由は、OPEC加盟国と非加盟国による協調減産が順調に進んでいることに加え、トランプ大統領による「国境調整税」への期待も多いようです。

 米原油生産は日量896万バレル(1月20日時点)ですが、それと同等近くの原油を輸入に依存しております。それらに20%の国境調整税を課せると、国境調整税が300億ドルを超えかねません。それらが米国内原油価格に転嫁されることになれば、米国内原油価格の上昇を招きます。それを見越してNY原油におけるファンドの買い越し枚数が近年最高にまで膨らんでいるようです。

 しかし、米国内原油価格の上昇や国境調整税勢の導入は、米シェールオイルの更なる増産を招くことになります。世界最大の原油輸入国である米国が、国境調整税により自国原油生産を促進することになれば、世界的な原油価格の急落を招く可能性もあります。日本は、中東産原油輸入に依存していることから、中東産原油に近い値動きをする北海ブレント原油の動向に追随する傾向が強いようです。それにより、トランプ政権による国境調整税の導入により、「NY原油上昇&北海ブレント原油下落」という流れとなれば、東京原油は、北海ブレント原油の下落に追随する可能性が高まります。そうしたことを考量して、NY原油のファンドポジションに注目する必要もありそうです。そして、今後のトランプ大統領の輸入原油に対する国境調整税の行方も注目でしょう。