昨年11月の米大統領選後からNYダウが3000ドルほど上昇し、米株式市場の時価総額が2兆8000億ドル(約314兆円)増えたとされております。そうしたトランプ政権に対するマーケットのこれまでの期待先行を満足させるほどの内容が、トランプ大統領による議会演説で示されるのかが注目されております。しかし、満足させる内容となったとしても、「噂で買って、事実で売れ」となる可能性もあります。日本時間で明日のAM11時過ぎから、トランプ大統領の議会演説が行われます。

 米国は、先進国の中でも利上げが実施できるほど好調な経済成長を続けております。NYダウが12営業日連続で最高値を更新するなど、株式市場も極めて好調であり、米国の不動産市場も好調が続いております。日本や欧州諸国と比べ物にならないほど好調な経済成長を続けている米国では、これ以上の好景気を求めること自体がかなり難しいことです。トランプ政権への期待の高まりは、「期待が先行し過ぎている」と考えるべきかもしれません。トランプ大統領がこれまでの歴代米国大統領にないタイプの人物であったことから、投資家の期待が先走りし過ぎたのもかもしれません。しかし、「相場は人気7分に材料3分」という相場格言もあり、「期待先行」自体がこれまでのマーケットの強材料であると考えるべきかもしれません。ですから、トランプ政権に対する期待が先行している間は、リスク銘柄の堅調地合いが続くとも考えられます。そして、議会演説でトランプ政権の政策が今まで以上に詳細に発表され、「ニュースは発表された瞬間に古臭いものとなる」という相場格言もあるように、「材料出尽くし」に備える必要もありそうです。

 「仕手につくのは最初だけ」や「人より先に提灯を消せ」という相場格言もあり、リスク銘柄を幅広く買い進んでいるファンドよりも先に、リスク銘柄に対して弱気な見方に変更する必要もありそうです。「馬は死ぬ前に売ってしまうことだ。人生のコツは、損失を次の人に回すこと」というウォール街の相場格言もあるように、これまで上昇を続けてきた米国株や資源銘柄、原油のようなリスク商品に対して、人より一歩先に弱気に転じる必要もありそうです。「恐怖の来るは青天の霹靂の如し」という相場格言もあるように、暴落は突然来るものです。しかし、「一葉落ちて天下の秋を知る」という相場格言もあるように、暴落前のわずかなシグナルを見逃さないということも必要でしょう。

「相場が安い時は、割安をねらって一部の人が買いにくる。相場が上がり始めると、ファンダメンタル的に良いとかチャート的に良いとかいってさらに多くの人が買いにくる。次の段階になると、上がるから買うということになる。そして最後に魔法の段階に到達する。人々はヒステリーのように買いたがる。相場は永遠に上がり続けると思うからだ。そして株価は合理的、論理的経済価値をはるかに超えてしまう。全く同じプロセスが下向きにも繰り返される。」というジム・ロジャース氏の名言もあります。NYダウは、12営業日連続で最高値更新となり、30年前の最高値更新記録に並びました。そして、14営業日連続で最高値更新となれば、120年前の最高値更新記録に並ぶことになります。今の米国株は、まさに、「相場は永遠に上がり続けると思う」という段階に達していると考えるべきかもしれません。

 「ウォール街がくしゃみをすれば、ロンドンは風邪をひく」という相場格言もあるように、米国株が崩れれば、リスク志向の原油市場や資源銘柄も崩れる可能性が高まります。それだけに、ここは、東京原油や東京ゴムに対しても急落に警戒するところかもしれません。