メール情報会員の皆様に本日配布しました「週間レポート」の一部を紹介します。
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原油市場の総括

年初からOPEC加盟国と非加盟国による協調減産が実施されて、原油市場が上昇すると見られておりました。減産順守率がOPEC加盟国で84%、非加盟国で60%にまで上昇したものの、それでもNY原油は、2か月半ほど前から51~55ドル付近でのボックス圏相場を続けております

米国のシェールオイルの増産自体は、当初からある程度予想されておりました。米国の原油在庫の増加も、エネルギー市場の不需要期のピークとなる2月頃までは増加傾向を続けることはある程度予想されておりました。しかし、OPEC加盟国であるリビアとナイジェリアが大幅増産に転じることは、昨年11月のOPEC総会の時は、予想出来なかったことでしょう。この4か月間で、米国が58万バレル、リビアが41万バレル、ナイジェリアが74万バレル増産し、その3国合計で日量173万バレルほど増産しました。

リビアとナイジェリアは、3年ほど前からの内戦で原油生産が10分の1程度にまで落ち込みました。それにより、昨年11月のOPEC総会では、リビアとナイジェリアの2カ国が協調減産から除外されました。それを受けてリビアとナイジェリアの両政府は、反政府勢力に対して急速に歩み寄り、主要油田が次々と再稼働を始めました。ナイジェリアのアデオスン財務相は2月23日、同国の原油生産が日量220万バレルにまで回復したことを発表しました。同国の12月時点での原油生産量が日量145万バレルであり、2か月間で75万バレルもの増産を達成したことになります。一方、リビアの原油生産は、日量70万バレルに達しており、4か月間で41万バレルも増産しました。しかも、ビア国営石油会社のアラオカリ取締役は2月15日、8月までに日量120万バレルまで増加するとの見通しを発表しており、更に日量50万バレルの増産を行う見通しとなっております。今後、OPEC加盟国と非加盟国が減産順守率を100%まで引き上げて、日量175万バレルの協調減産を達成したとしても、米国とリビア、ナイジェリアによる増産がそれを上回る可能性が高そうで                                 

NY原油にけるファンドの買い越し枚数が過去最高を更新し続けております。ここまでファンドが大量に買い進んでも、ボックス圏相場から脱出できないNY原油の地合いの悪さを感じます。ファンドの買い越し枚数が過去最高にまで膨れ上がっているということは、商業玉、いわゆる当業者や生産者などのヘッジャーによる売り越し枚数も過去最高にまで膨れ上がっているということです。ファンドの買い越し枚数は約55万枚ですが、それに対してヘッジャーの売り越し枚数は約60万枚です。ヘッジャーによる大量の売りポジションが積み上がっているということは、将来の原油価格の下落に対する当業者の「ヘッジ売り」がそれだけ積み上がっていということです。そうしたヘッジャーによる「ヘッジ売り」は、今後の原油市場の圧迫要因となりそうです。そして、最高値を更新し続けているNYダウが下落に転じてリスクオフの流れが強まれば、原油市場下落の引き金となる可能性もあるだけに、注意が必要となりそうです。

 昨年11月に1万8000ドル台を割り込んでいたNYダウは、この3カ月間で2万1000ドル台にまで3000ドル強の上昇となりました。そうしたトランプ・ラリーによるマーケット全体のリスクオンの流れは、原油市場の下支え要因でもありました。しかし、NYダウも「バイイング・クライマックス」の様相を呈してきただけに、今後のNYダウの下落がNY原油下落の引き金を引く可能性もあります。

 NY原油におけるファンドの買い越し枚数は、この3カ月半で約27万枚から約55万枚にまで膨れ上がりました。昨年11月の米大統領選後からファンドの買い越し枚数が2倍ほどにまで膨れ上がったことからも、いかにこれまでのトランプ・ラリーでファンドがNY原油を大量に買い進んだかが伺われます。それだけに、NYダウが調整局面を迎えると、NY原油市場でファンドの手じまい売りを誘う可能性が高まります。ファンドの買い越し枚数が過去最高にまで膨らんでいるだけに、ファンドの手じまい売りが本格化すれば、NYダウが昨年末の45ドル台にまで下落する可能性もあるだけに、東京原油に対する弱気な見方も一考ではないでしょうか。
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