トランプ大統領が昨日議会に提出した2018年度予算教書は、ほぼ全ての連邦省庁の予算を大幅削減するものであり、議会がその大部分を受け入れる可能性はほとんどないと見られております。しかも、共和党議員からの反発もあるようです。共和党議席は上院100議席中52議席であり、反対派を押し切るための採決で60票を確保するためには、予算案の大幅な変更が必要となりそうです。

 トランプ大統領が昨日提出した2018年度予算教書は、国防費を10%増やし、国境警備費も充実させるという内容でした。しかし、国務費を28.7%削減、環境保護局予算を31.4%削減、農務省予算を21%削減するというものであり、その他の連邦省庁予算も10%前後の減少となる内容でした。これでは与野党の双方からの反発も避けられそうもありません。ライアン下院議長は「長期にわたって続く予算編成プロセスの一部にすぎない。」と述べており、2018年度予算の製作にかなりの時間が要することを指摘しております。そして、下院歳出委員会のロジャース前委員長は、「大統領の骨と皮ばかりの予算教書に示された削減の多くは過酷で慎重さを欠き、望ましくない結果を生む。」と述べております。「骨と皮ばかりの予算教書」という表現は、的を得た表現かもしれません。

トランプ大統領のこれまでの39の公約により「期待先行」が高まり過ぎたのかもしれません。しかし、トランプ大統領が昨日提出した2018年度予算教書を見ると、「これまでの期待と厳しい現実との違い」が感じられました。これからは、「これまでの期待と厳しい現実との違い」が嫌気され、米国株が下落基調に転じてリスクオフの流れが強まることも考えられます。