昨夜公表されたFOMC議事録(3月14~15比開催分)によると、大部分の当局者は、4兆5000億ドル(約500兆円)のバランスシートの縮小開始につながる政策変更の年内実施を支持しておりました。更に議事録では「一部の参加者は株価に関して、標準的なバリュエーションの指標と比較して非常に高い水準と捉えた。」との認識も示していたことを受けて、昨夜のNYダウが高値から239ドル幅も下落して取引を終えました。これまでのトランプ・ラリーで大幅上昇してきた米国株に対してFRB委員の多くは、「非常に高い水準と捉えた」と指摘していただけに、しばらくは米国株の下落を中心としたリスクオフの流れが続くのかもしれません。そして、トランプ大統領に対するハネムーン期間の期限切れが迫ってきたことも警戒が必要となりそうです。

米国では、新大統領や新政権に対して、就任後100日間は、マスコミによるバッシングが紳士協定で禁止されております。それにより米国メディアは、ハネムーン期間中の新大統領や新政権に対して称賛する評価を与えることが一般的です。また、野党もハネムーン期間は新政権に対する批判や性急な評価を避けるという紳士協定があります。トランプ氏の大統領就任が1月20日ですから、ハネムーン期間は4月29日で終了します。

1933年にルーズベルト氏が大統領に就任すると、演説で「わたしの100日をよくみてほしい。」と述べ、後にニューディール政策と称される複数の重要法案をわずか100日程度で成立させたことから、「新大統領就任御100日間のハネムーン期間」という紳士協定が生まれました。そして、就任後100日を経過したら、「最初の100日間は成功であったのか?」ということが厳しく問われることになります。トランプ大統領のこれまでの39の公約のどれだけが4月29日までに実施できるかも注目でしょう。下記は、トランプ大統領による39の公約です。

公約1:メキシコ-米国間へのグレートウォール建設

公約2:不法移民への取り締まり強化

公約3:サンクチュアリ・シティの撤廃

公約4:移民の成功可能性に基づいた入国審査

公約5:生体認証ビザ追跡システム導入

公約6:テロ対象の国からの移民禁止

公約7:モスクの監視

公約8:シリア難民救済プログラム撤廃

公約9:オバマ大統領令キャンセル

公約10:ヒラリー・クリントンのメール漏洩問題の継続調査

公約11:オバマケア廃止

公約12:プランド・ペアレントフッドへの資金供給停止およびロー対ウェイド事件への判決変更

公約13:環境保護庁および教育省の役割削減

公約14:新たな教育プログラム導入

公約15:国内インフラの改善

公約16:国家による業界規制の撤廃

公約17:NAFTAへの姿勢を再定義

公約18:NAFTAによる関税緩和

公約19:TPPからの脱退

公約20:中国への45%の関税導入

公約21:2,500万人の新規雇用創出

公約22:安定した経済成長

公約23:大幅な減税

公約24:家族関連法制度整備

公約25:銃規制緩和および撤廃

公約26:銃購入のための権利

公約27:治安維持強化

公約28:サイバーセキュリティ強化

公約29:退役軍人省改革

公約30:アメリカ軍再構築

公約31:医師油掘削量増大

公約32:OPECからの独立

公約33:イラクの石油備蓄接収

公約34:拷問の認可

公約35:イスラム教委員会設置

公約36:ISISの殲滅

公約37:ロシアとの協力(特にISIS関連)

公約38:ISIS活動地域でのインターネットシャットダウン

公約39:アフガニスタンでの米軍維持

 

トランプ大統領に対するハネムーン期間が今月末に終了すれば、上記の39の公約のどれだけが実施されたかという厳しい追及が始まりそうです。特にトランプ政権の柱である税制改革やインフラ投資、オバマケア廃止などは、年内に実施できるかも疑問視され始めております。

最近のハネムーン期間といえば、2009年1月20にオバマ大統領が就任してからの100日間が印象的でした。その時の米国株は、リーマンショック後の急反発となり、ドル円も1カ月で15円ほど円安に進みました。そして、オバマ大統領の2度目のハネムーン期間(第2次オバマ政権が発足した2013年1月20日からの100日間)では、NYダウが2500ドルほど上昇し、ドル円が10円ほど円安に進みました。しかし、ハネムーン期間が終了する半月ほど前からリスクオフの流れが強まる傾向もあります。そうしたことを考えると、来週あたりから米国株の下落を中心としたリスクオフの流れが強まる可能性もあります。これからは、東京原油や東京ゴムなどリスク志向の銘柄に対する下ぶれ警戒が必要となりそうです。