NY金の電子取引は、米軍のシリア空軍施設へのミサイル攻撃を受けて先週末7日の日本時間11時ごろに1271ドルまで急騰し、同日23時頃にも一時1272ドルまで上昇しました。しかし、先週末のNY市場の中盤あたりから急落し、現在は1254ドル付近で推移しており、米軍のミサイル攻撃前の水準まで下落しております。NY原油の電子取引は、中東での地政学的リスクの上昇に反応して一時1270ドル台まで上昇しましたが、その後、ドル高に圧迫されて下落しました。また、米国の国防当局者は、「今回のシリア軍施設へのミサイル攻撃は1度限り」と述べており、地政学的リスクの上昇は一時的との見方が多いようです。

 NY金の電子取引は、先週末に1272ドルまで上昇して5カ月ぶりの高値を付けてから急落したことを受けて、上昇トレンドが終了した可能性も出てきました。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数は、前週比1万7616枚増の15万5436枚となり、3週連続で増加となりました。

 世界最大の金ETFであるSPDRゴールド・シェアの金現物保有量は、2月中旬に845トンまで増加したものの、その後は減少傾向を続け、4月7日時点で836.49トンです。NY金は、この3週間で70ドルほど上昇したものの、金ETFの現物保有量は減少傾向を続けていることから、最近の金市場は、「投機人気でNY金が上昇しているが、金現物需要は減退気味」となっているようです。それにより、3週間続いたNY金の上昇基調は長続きしないと考えるべきかもしれません。
金現物保有量