この3週間でNY金が70ドルほど上昇した半面、NY白金は100ドルほど下落しており、同じ貴金属として正反対の値動きをしております。この原因は、主要通貨に対して南アランドが大幅下落していることのようです。

 ドル・南アランドは、3月27日時点で1ドル=12.3ランドまで下落して年初来安値を記録しましたが、現在は13.8ランド付近まで2週間程度で12%も上昇し、年初の水準まで上昇しております。そうした南アランド安を受けて南アフリカの白金生産コストが下落し、NY白金が下落しました。

 格付け会社のフィッチは7日、南アのソブリン格付けを投資不適格(ジャンク債)に格下げしました。フィッチは、「先月30日の内閣改造で市場から信頼性の厚いゴーダン財務相を解任した結果、経済政策の方向性が変わる公算が大きい。」と説明しております。それを受けてモルガン・チェースは7日、同社の新興市場国際インデックスから南ア国債を4月下旬から除外することを発表しました。南アでは、ゴーダン財務相を解任したことに対して与野党が猛反発しており、与党アフリカ民族会議(ANC)内の分裂を生みました。また、ゴーダン財務相を解任したことを引き金として、ズマ大統領の解任を求める大規模デモが予定されていることも伝わっております。ここにきてズマ大統領解任の流れが強まってきたようです。先月30日の内閣改造で市場から信頼性の厚いゴーダン財務相を解任したことを受けて、南アの政局が大きく変化する可能性もあり、そうした不透明感から南アランド売りが続いております。

日本では、円安が進めば、輸出される製品価格が下落することで輸出増につながり、輸出企業にとって円安は好感されます。南アでは、南アランドが安くなれば、それだけ南アから輸出される白金価格が下落することになります。南アの政局が不透明の間は、南アランドが売られることでN白金が下落を続けそうです。 これでズマ大統領が解任されることになれば、南アランド安が進んでNY白金が急落する可能性もあります。