TOCOMの公表値による東京ゴムにおける投資家ポジションは、長らく売り越しが続いておりましたが、今月9日頃に東京ゴムが230円台を割り込むと、買い越しに転じました。国内投資家の多くは、230円付近までの下落は売り越しで調子が良かったようですが、230円を割り込んでから買い越しに転じ、現在は少し苦戦しているようです。

 以前の手口公開時の時のファンドは、外資系商品取引業者経由で注文を出していたことから、外国商品取引業者経由のポジションの大部分がファンドポジションと考えるべきかもしれません。そう考えれば、ファンドの多くは、230円付近までは買い越しでかなり苦戦を強いられてきましたが、230円台を割り込んでから売り越しに転じ、下がれば下がるほど売りポジションを増やしております。しかし、これまでのパターンでは、ファンドが売り越しに転じると、相場が底入れしやすいという傾向もあります。

 NY原油やNY金のファンドポジションは、売り越しに転じたことはありません。シカゴ大豆やシカゴコーンのファンドポジションは、たまに少し売り越しに転じることもあります。ファンドが基本的に買い越しを続ける理由は、ファンドに対する評価の方法が原因となっております。例えば、米国株におけるファンドへの基本的な評価は、「ファンドの年間収益がS&P500種株価指数やNYダウの上回率を上回っているか?」となります。その反対に、相場下落時の米国株のファンドに対する基本的な評価は、「ファンドの損失がS&P500種株価指数やNYダウの下落率を下回っているか?」となります。それによりファンドは、買いポジションが基本です。一方、ヘッジファンドに対する評価は、「相場下落時にどれだけ利益を出すか?」となることから、売りポジションが基本です。ファンドとヘッジファンドは全く違います。そして、ファンドに対してヘッジファンドは少数派です。こうしたファンドの特性を考えれば、基本的に買い越しのファンドが売り越しに転じた時は、よほど大きな下落トレンドが形成された時が多いようです。今回の東京ゴムの大暴落を考えれば、ファンドが売り越しに転じたのも納得できます。普段の東京ゴム市場のファンドは、「上がれば上がるだけ買い越しを増やす」というパターンとなり、基本的にテクニカル的な順張りで動きます。230円台を割り込んでから売り越しに転じ、その後の下落で安定して売りポジションを増やしてきた外国商品取引業者経由のポジションの平均売り値は215円付近になることから、その少し上となる220円付近を上回れば、外国商品取引業者経由の売り越しポジションの手仕舞いが出始める可能性もあります。ファンドは基本的に敵に軽に素直に動く傾向があります。

東京ゴムの投資家ポジション