サウジアラビアのハリファ・エネルギー相は本日、OPEC主導の協調減産に対して、「これまでの参加国との話し合いに基づけば、協調減産は今年下半期も延長されると確信しており、更に伸びる可能性もある。」と述べました。年初から実施されている協調減産が6月末で終了することから、5月25日のOPEC総会で「協調減産の6か月間延長」で合意されると見られておりました。しかし、本日のハリファ・エネルギー相が本日、「協調減産が6カ月間の延長で合意され、更なる延長の可能性もある。」と述べたことにより、「6カ月間以上の延長」で合意される可能性も浮上してきました。仮に9カ月間や12か月間の延長合意となれば、原油市場に対する大きなサプライスとなり、NY原油が大きく上昇する可能性も高まります。

 トランプ大統領とパレスチアのアッバス議長との会談が5月3日に行われました。2月のイスラエルとの首脳会談でトランプ大統領が「イスラエルとパレスチナの2国共存にこだわらない。」と述べただけに、5月3日の会談でアッバス議長が「2国共存」の考え方をトランプ大統領に対して説得できるかが注目されておりました。しかし、会談後のトランプ大統領とアッバス議長との共同会見では、双方から目新しい内容の報告はありませんでした。それにより、アッバス議長がトランプ大統領に対して「イスラエルとパレスチナの2国共存」という考え方を説得させるに至らなかったようです。これを受けてイスラエルの米大使館のエルサレム移転の可能性が高まりました。

 イスラエルの米大使館のエルサレム移転計画は、21年前の米議会で決定したことです。しかし、それを実施すると中東情勢が緊迫することから、オバマ大統領までの米大統領が3代にわたって半年ごとに「イスラエルの米大使館のエルサレム移転計画に対する半年間の凍結という大統領令への署名」を行ってきました。しかし、オバマ大統領が最後に行った「イスラエルの米大使館のエルサレム移転計画に対する半年間の凍結という大統領令への署名」の効力が今月下旬で終了します。そして、今月下旬にはOPEC総会も控えております。今月下旬に向けての「イスラエルの米大使館のエルサレム移転計画に対する中東の地政学的リスクの上昇」や、「OPECによる協調減産の6カ月以上の延長合意観測」などを受けてNY原油が大きく上昇する可能性も出てきました。NY原油が先月中旬の高値から10ドルほど下落したことにより、ここは、原油市場の買い場探しとなる可能性もあります。