東京金は、5月8日に60円幅ほど急落する場面もありましたが、それ以外は小動きを続けており、方向性があまり感じられません。ドル高に反応してNY金が下落すれば円安が相殺し、ドル安に反応してNY金が上昇すれば円高が相殺するパターンが続いており、NY金に比べて東京金の値動きが小さくなる傾向も続いております。

 世界最大の金ETFであるSPADゴールド・トラストの金保有量は、8営業日連続で全く変化しておらず、4月下旬ごろからあまり変化しておりません。こうした金保有量の増減がほとんどないことからも、金投資に関心を示す投資家が少ないようです。米国株が幾度となく高値更新していることを考えると、こうした環境で「リスクヘッジ銘柄」に注目することは難しそうです。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数は、この1か月間で20万枚付近から15万枚付近まで減少しました。米国株を中心としたリスクオンの流れが強まっていることから、金投資を減らすファンドの動きが続いております。しかし、先月からNY金が下落基調を続けているものの、先月からの円安基調が相殺するかたちとなり、東京金は小動きを続けております。しばらくは、値動きの大きな銘柄に注目した方がいいのかもしれません。

今後、米国株が大きく下落してリスクオフの流れが強まると、NY金が上昇する可能性も高まりますが、その反面、円高が進む可能性も高まります。そのあたりが円建て銘柄となる東京金の分析の難しいところでしょうか。

 NY金のファンドポジション
金現物保有量