5月25日

天然ゴム市場

 昨日の東京ゴム市場では、6月限が9~10時ごろに20円高まで上昇して何度かサーキット・ブレーカーが発動しました。その後、当限(5月限)が11~12時ごろに20円安まで下落して何度かサーキット・ブレーカーが発動しました。そして、夜間取引に入ると、7月限が20円安まで下落してサーキット・ブレーカーが発動しました。

 売り方の踏み上げにより当限(5月限)や6月限が共に300円台まで上昇しましたが、玉整理が一巡すると5月限や6月限の上昇力が急速に弱まり、これまでの大幅上昇の反動安となったようです。それに上海ゴムの急落が重なり、昨日の東京ゴムが急落しました。

 昨日のロンドン金属取引所(LME)の非鉄金属銘柄は全面安となりました。格付け会社のムーディーズが中国の信用格付けを引き下げたことを引き金に非鉄金属銘柄が下落に転じました。中国の非鉄金属需要が世界全体の3割強を占めるだけに、中国の債務悪化観測の高まりが非鉄金属銘柄を圧迫しました。そして、低調な製造業指標と弱い商品輸入にムーディーズの格下げが重なり、鉄鋼関連銘柄や非鉄金属銘柄などの資源銘柄全体が失速しました。

 ムーディーズによる信用格付けの引き下げ発表や東京ゴムの当限(5月限)や6月限の玉整理一巡などを認識していれば、昨日の東京ゴムの急落を予想出来たのかもしれません。



(下記の記事は、私が昨日10:00に会員の皆様にお送りしました過去記事です。)

5月24日

天然ゴム市場「利益確定も一考か?」

東京ゴムの先限(10月限)は、先ほど3.6円高の236.7円まで上昇し、一代の高値を更新しました。6月限は、20円幅近く上昇し、310円台に乗せております。これで5月限が320円台、6月限が310円台となりました。

東京ゴムの6月限は、23日の日中取引で20円高まで上昇し、その後の夜間取引でも20円高まで上昇しており、23日の日中取引と夜間取引の上げ幅が合計で40円幅となりました。6月限の売り方の手仕舞いが、22日の夜間取引から加速しております。

東京ゴムの6月限の取引高は、22日時点で1100枚強でした。そして、6月限の22日の夜間取引から23日の夜間取引までの合計出来高が1000枚を超えました。それにより、6月限の取組高の8割程度が玉整理を終えた可能背もあります。しかも、今朝からはほとんど出来高が増えておりません。それを受けて6月限の玉整理が一巡したと考えるべきかもしれません。

商品相場では、「順さやは、納会前後でさや滑り」や「逆さやは、納会前後でさや出世」となる傾向があります。今回の東京ゴムは、記録的な大幅逆さやを形成しており、納会に向けて期近限月を中心として上げ足を強めたことから、「逆さやは、納会前後でさや出世」というパターンとなったようです。こうしたことから、「逆さや売るべからず」という商品相場特有の格言が生まれたのかもしれません。

全国営業倉庫生ゴム在庫が1年間で7割も大幅減少したことを背景として、東京ゴムの大幅逆さやが深刻化しております。しかし、いずれ国内在庫が増加傾向を強めれば、逆さや解消の動きが強まることと思われます。「値は荷を呼ぶ」という商品相場特有の相場格言もあります。東京ゴムの期近限月の高騰により、いずれ産地から現物を大量に呼び込むことになる可能性は高そうです。

現在の天然ゴム市場は、「在庫増加に圧迫されている中国の天然ゴム市場」と、「在庫減少を続ける国内天然ゴム市場」という構図となっております。そして日本の天然ゴム消費は、世界全体の5%程度ですが、中国の天然ゴム消費は世界全体の35%ほどを占めます。そして、上海尾ゴムが順さやを形成し、東京ゴムが逆さやを形成しております。こうした構図を考えると、東京ゴムの大幅逆さやが長続きすることは考えにくいものがあります。そして、東京ゴムの6月限の玉整理が一巡した可能性も高まってきました。

5月9日の安値から昨日の夜間取引までの上げ幅は、東京ゴムの当限(5月限)が66.5円幅、6月限が84.2円幅、7月限が61.9円幅、8月限が49.1円幅、9月限が37.5円幅、先限(10月限)が30.9円幅です。半月間ほどでここまで大幅上昇となると、そろそろ投機人気の加熱に対する警戒が必要となりそうです。しかも、明日25日は東京ゴムの納会です。先ほど、格付け会社のムーディーズが、中国の格付けを「Aa3」から「A1」に引き下げたことも気になります。東京ゴムに対いて利益確定も一考かもしれません。