金市場は、ドル安基調や米国の政治的リスクが強材料となっている反面、米国株高を中心としたリスクオンの流れがマイナス要因となっております。今月上旬の安値からNY金が40ドルほど上昇し、東京金が60円ほど上昇しました。

 CFTCから先週末に発表されたIMM通過先物におけるユーロの買い越し枚数が6万4845枚となり、2014年3月以来の高水準となりました。仏大統領選が無事終わり、ユーロ圏の経済指標が堅調な中、ECBが金融緩和策を縮小させるとの観測の高まりでユーロ買いが進み、主要通貨に対するドル安が進みました。「ECBが6月に新たな緩和縮小策を講じる」との観測が高まっております。一方、IMM通過先物におけるドルの買い越し枚数は、4週間で計28%減少しました。しかし、ユーロドルは、1週間ほど前から伸び悩みとなってきました。

 世界最大の金ETFであるSPDRゴールド・シェアの金現物保有量は、4月下旬に86万トン付近まで増加しましたが、5月になって少し減少傾向となっており、金需要の低調さが伺えます。

 S&P500株価指数やナスダック総合株価指数が更新し、NYダウが最高値まであと88ドルに迫っております。ロシアゲート問題で5月17日のNYダウが大幅下落となりましたが、翌18日から7営業日連続で上昇し、今月高値を更新しました。ロシアゲート問題の高まりで5月17日のNYダウが572ドル安となった時は、「更なる急落」も警戒されましたが、あれだけロシアゲート問題で大騒ぎされたにも関わらず、その翌日から上昇を続けているNYダウの地合いの強さに驚かされます。その一方で、イスラエルの米大使館移転問題や北朝鮮のミサイル発射実験問題なども気になります。

 NY金におけるファンドの買い越し枚数は、前週比3万3043枚増の15万9767枚となり、4週間ぶりに増加に転じました。前週の買い越し枚数が9週間ぶりの低水準であったことから、ファンドの手仕舞い売りが一巡したのかもしれません。金市場のテクニカルやファンダメンタルズを総合的に考えれば、今後は、「少し強い」といったところでしょうか。
NY金のファンドポジション
金ETF現物保有量