NY原油は、6月21日に42.05ドルまで下落しましたが、その後は上昇基調を続けております。7月24日から6連騰となり、7月31日に50.41ドルまで上昇しましたが、2カ月半ぶりの50ドルの大台乗せにより、それまでの上昇基調に対する達成感が高まり、8月1日には一時48.37ドルまで下落する場面もありました。そして、昨夜のNY原油は、EIA週間在庫統計を受けて49.59ドルまで戻して取引を終えました。

 石油メジャーの4~6月期決算が進むと、大方の予想ほど悪くない決算内容となる企業も増えてきました。ゴールドマン・サックスの8月2日付けのレポートでは、「英国のBPや英&オランダ系のロイヤル・ダッチ・シェルなどの欧州石油メジャーは、コスト削減や業務改善により原油安に適応している。」と指摘しております。更に、「欧州の石油メジャーは、北海ブレント原油価格が平均52ドルだった2017年1~6月に、100ドル付近まで上昇していた2014年1~6月よりも多くの現金収入を得た。簡素化や標準化、デフレーションの下、石油業界は、現在の環境で原油価格が1バレル当たり100ドルを上回っていた2013~2014年当時よりも収益性を高め、現金を生み出せる態勢になっている。」とも指摘しております。こうしたゴールドマン・レポートを見ると、原油価格の50ドル以上での強気な見方に疑問が生じます。

 従来型油田(自噴型油田)から原油を生産する欧州石油メジャーの多くは、原油価格が50ドル付近でも採算が合うようです。その一方で、米国のシェールオイル開発企業にとっては50ドル付近では採算が合わない企業も多いようです。米国の原油生産は世界全体の約10%を占め、米国原油生産の約57%がシェールオイル生産です。シェールオイルとオイルサンドを除いた世界の原油生産の93%ほどを占める従来型油田(自噴型油田)を基準に考えれば、NY原油が53~54ドル付近まで上昇すれば、原油市場に対する売り場探しも一考かもしれません。