10月11日

トルコリラ

 日本の個人投資家のトルコリラの買い越し枚数は、10月3日時点で過去最大に達しました。しかし、米国とトルコが互いにビザ発給業務を停止したことにより、トルコリラは対ドルで大きく下落しました。在イスタンブール米総領事館のトルコ人職員が2016年のクーデター未遂に関与したとしてトルコ当局に今月4日に逮捕されたことを理由に米国がトルコへのビザ発給業務を停止しました。その数時間後には、トルコも米国へのビザ発給業務を停止しました。

 昨夜のマーケットでは、ホワイトハウスが米国の駐トルコ大使によるビザ発給業務停止の決定を支持したことで再びトルコリラが売られました。また、トルコの裁判所が紙ウォールストリート・ジャーナルの記者に対して本人不在のまま有罪判決を下したこともトルコリラ売り要因となりました。

 ゴールドマン・サックスは、7月時点ではトルコリラ買いを推奨しておりました。しかし、8月になると、「最大のアンダーウェートはトルコとマレーシア、チェコ」との見方に変更しました。格付け会社のフィッチは、今年1月にトルコのソブリン格付けを投資適格級で最も低いBBBマイナスから投資不適格級のBBプラスに引き下げました。フィッチは3カ月前に、「クーデター未遂後の当局による取り締まりが今も続いており、5万人が逮捕され、15万人の公務員が解雇または停職処分されたことを受けて、経済活動が依然勢いを欠いている。」と指摘しております。トルコのソブリン格付けが投資不適格級と評価されているだけに、トルコの債券や通貨への弱気な見方を継続させるべきかもしれません。