10月27日

とうもろこし市場

 昨年のシカゴコーンは、8月末に3.01ドルまで下落して年初来安値を記録しましたが、その後はじり高基調を続け、12月15日に363ドルまで上昇しました。その間に東京トウモロコシは、1万8920円から2万2090円まで3170円幅の上昇となりました。昨年の米国産トウモロコシは過去最高の豊作となりましたが、収穫を終えた農家の売り渋りが強まり、昨年末にかけて現物呼び出し相場に発展しました。そして、シカゴコーンは、昨年の8月末と今年の8月末に共に年初来安値を付けております。今年は、昨年同様に豊作となったので、昨年との共通点が多いようです。

 

下記の記事は、昨年10月17日と昨年10月27日に制作した過去記事です。参考にどうぞ。

2016年10月17日

トウモロコシ市場パート2

 シカゴコーンは、9月の米農務省による需給報告後からじり高基調が続いており、豊作相場特有の現物呼び出し相場の様相を呈しているようです。9月の米農務省による需給報告までの天候相場では、シカゴコーンが下落基調を強めたものの、その後の需給相場でじり高基調に転じたことは注目でしょう。天候相場では、「豊作=売り」という発想となっても、需給相場になると、「安値=農家の売り渋り」や「安値=消費者の消費意欲を刺激する」などと受け止められることも多く、天候相場と需給相場の考え方の違いに注意する必要もありそうです。

米国立観測所(NWS)内の気象予報センター(CPC)は13日、「赤道付近の太平洋で海面温度が低下するラニーニャ現象が数カ月以内に発生し、北半球で今秋から冬にかけて同現象が持続する可能性が高まった。」との見方を公表し、ラニーニャ現象の発生確率を50%から70%に引き上げました。一方、日本の気象庁が10月11日に発表したエルニーニョ監視速報では、「ラニーニャ現象が発生しているとみられる。今後冬にかけては、平常の状態になる可能性もある(40%)が、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高い(60%)。」との見方を公表しております。ラニーニャ現象が発生すると、南米で干ばつ被害が多発する傾向もあります。

米農務省が発表した10月9日時点での収穫率は、トウモロコシが前週比11%上昇の35%、大豆が前週比18%上昇の44%となりました。そして、ここにきてCPCがラニーニャ現象の発生確率を大幅に引き上げたことは注目でしょう。また、東京とうもろこしが2か月半ぶりに2万円の大台乗せとなっており、2か月半続いた狭い範囲でのボックス圏相場から保合い上放れとなってきたことは注目でしょう。シカゴコーンが生産コスト付近まで上昇して農家の売りつなぎが本格化するまでは、シカゴコーンや東京とうもろこしに対して強気な見方も一考ではないでしょうか。

 

2016年10月27日

トウモロコシ市場「当業者の売りつなぎ状況は?」

CFTCから先週末に発表されたシカゴコーンにおけるファンドポジションは、8週間ぶりに買い越しに転じて5万2533枚となりました。シカゴコーンにおけるファンドポジションが売り越しに転じた時に、シカゴコーンが安値形成し、ファンドの買い越し枚数が28~30万枚付近まで膨らんだ時に、シカゴコーンが高値形成する傾向もあるようです。今回は、8月16日から10月11日にかけて売り越しとなり、それと共にシカゴコーンが2009年以来の安値を形成しました。

 9月の米農務省による需給報告では、米国産トウモロコシが過去最高の豊作見通しとなりました。それを受けてハーベスト・プレッシャーの高まりでトウモロコシ価格が下落するとの見方もかなり増えましたが、それでもシカゴコーンが2カ月ほど前からじり高基調を続けております。豊作見通しの高まりでシカゴコーンが生産コストを大きく割り込むと、農家の売り渋りにより「現物呼び出し相場」に発展し、シカゴコーンが9月ごろからじり高基調に転じる傾向もあります。その反面、不作見通しの高まりでシカゴコーンが生産コストを大きく上回ると、農家の売り急ぎによりハーベスト・プレッシャーが高まり、シカゴコーンが9月ごろから急落する傾向もあります。

今年の米国産トウモロコシが過去最高の豊作見通しとなっているものの、それでもハーベスト・プレッシャーが高まらずに、シカゴコーンがじり高基調を続けております。実際にシカゴコーンにおける商業玉(当業者)のポジションは、9月27日時点で買い越し枚数が8万7984枚にまで膨らみました。シカゴコーンにおける商業玉(当業者)のポジションが買い越しに転じることは、極めて稀なことなのであり、それだけ当業者が売り渋りを行っていることを示しているようです。

CFTCから先週末に発表された10月18日時点でのシカゴコーンにおける商業玉(当業者)のポジションが「1万580枚の売り越し」となり、前週の「3万8326枚の買い越し」から変化しました。2カ月ぶりに商業玉(当業者)のポジションが売り越しへと変化しましたが、過去のパターンを参考にすると、現在の「1万580枚の売り越し」が30万枚付近まで増加すれば、「当業者の売りつなぎが膨らみ過ぎた」として、ハーベスト・プレシャーへの警戒を強める必要もあります。しかし、商業玉(当業者)のポジションが2カ月ぶりに売り越しに転じた直後であり、現時点では売り越し枚数が極めて少ないことから、しばらくはハーベスト・プレッシャーよりも農家の売り渋りに注目する必要もありそうです。