10月31日

原油市場

 ブレント原油は、今月28日夜に60ドル台まで上昇し、その後は60~60.6ドル付近での小動きを続けております。中東の地政学的リスクの高まりや、ロシアやサウジアラビア、OPECなどの協調減産延長に関する要人発言に原油価格が大きく反応してきました。

 イラク中央政府軍とクルド自治政府の対立によりイラク北部のキルクーク油田や北西部のフィッシュカブル油田で緊張が高まりました。しかし、それに対してイラクのルアイビ石油相は29日、南部湾岸から日量90万バレルも原油輸出能力を増加させたことを発表しました。キルクーク油田は、通常生産でも日量60万バレル程度です。イラクに関する地政学的リスクの高まりで原油価格が大きく上昇しましたが、結局は、「イラクの原油輸出が増加した」となったのですから、これまでの原油価格の上昇に対して「興ざめ」と感じ始める投資家が増えそうです。

 ブレント原油は、6月21日に44.3ドルまで下落しましたが、それから4か月間も安定した上昇基調を続け、16ドル幅も上昇しました。しかし、ここにきて60ドル台乗せとなって2年ぶりの高値を記録したことで、これまでの上昇に対する達成感も高まってきました。しかも、協調減産延長に関する度重なる要人発言により、「協調減産延長」自体をかなりの部分で織り込んだようです。しかも、イラク問題で緊張が高まったものの、イラクの原油輸出の大幅増加はいただけません。それにより、「原油価格が上限に達した」となる可能性も高そうです。
ブレント原油の週足

 

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下記のコメントは、昨日製作したコメントです。

10月30日

原油市場パート2

 イラク中央政府軍とクルド自治政府の対立によりイラク北部のキルクーク油田や北西部のフィッシュカブル油田で緊張が高まりました。しかし、それに対してイラクのルアイビ石油相は29日、南部湾岸から日量90万バレルも原油輸出能力を増加させたことを発表しました。それにより9月からは日量136万バレルの増加となります。ちなみにキルクーク油田は、通常生産でも日量60万バレル程度です。イラク情勢の緊張で中東の地政学的リスクが上昇しましたが、それに反してイラクの石油輸出能力が大幅に増加したのですから、原油価格のこれまでの上昇に対する反動安に注目する局面にきているのかもしれません。

米石油メジャーのエクソン・モービルは本日、2018年末までにパーミヤン地区のオイルリグ数を現在の20基から30基にまで増やし、パーミヤン地区の原油生産量を年間45%増加させる計画を発表しました。そして2017年末までにパーミヤン地区のシェール油田の掘削を横方向に4.8km伸ばし、2018年の資本予算を約250億ドルにすると発表しました。そして、最近の石油プロジェクトの成功を考慮して、ガイアナプロジェクトの2つのフェーズを開始する考えを示しました。

 良好な米国企業の7~9月期決算発表を受けてNYダウが今月上旬ごろから大きく上昇しました。そして、エクソン・モービルのように原油価格の上昇を受けて良好な決算発表となった石油メジャーからの増産計画がこれから増加することは十分考えられます。OPEC加盟国とロシアが協調減産を2018年末まで延長する可能性も高まっており、ブレント原油が2年ぶりの高値まで上昇していることを考えると、今回の4半期決算の結果を受けて増産計画を発表する石油メジャーは相当増えそうです。これまでも原油価格が大きく上昇した時の四半期決算では、多くの石油メジャーから増産計画が発表されております。