11月6日

原油市場

 先週末のNY原油は、ベネズエラやナイジェリアの減産懸念や米オイルリグ数の減少を好感して上昇しました。ベーカーヒューズが先週末に発表した米オイルリグ数は、前週比8基減の729基となり、8月頃から減少傾向が続いております。一方、米原油生産は、年初来最高値まであと日量0.8万バレルに迫っております。米シェール開発業者の多くは、生産コスト引き下げの為にコストの高い油田を閉鎖し、コストの安い油田へ資金と人員の投入を増やしているようです。それにより米オイルリグ数が減少しながら、それと共に米原油生産が増加する傾向が鮮明となっております。英石油メジャーBPのギルバリー最高財務責任者(CFO)は10月31日、「ブレント原油が1バレル=49ドルでキャッシュフローの均等が取れる。来年は、45~50ドルでも地益が出せる。長期的には損益分岐点を35ドルまで引き下げたい。」と述べております。「米オイルリグ数の減少」を最近の原油市場では強材料視しているようですが、「米オイルリグ数の減少&米原油生産の増加」により生産コストを引き下げる米シェール開発業者の経営努力は注目でしょう。

 ベネズエラのマドゥロ大統領は2日、満期を迎えた債務の支払いを約束したものの、国民向け財政資金確保のために将来のあらゆる返済の再構築と検討する特別委員会を設置したと述べました。これにより同国のデフォルト観測が高まり、同国原油生産に対する懸念も強まりました。

 ナイジェリアの武装勢力であるニジェール・デルタ・アベンジャーズ(NDA)は3日、同国の油田が集中するニジェール・デルタ地区の石油施設への攻撃の休止措置を解除することを発表しました。昨年11月のOPEC総会で協調減産合意となった事を受けて、ナイジェリア中央政府とNDAとの話し合いが進展し、昨年11月以降はNDAによる油田攻撃は行われておりません。今回、NDAは、「休戦を正式に取りやめた。昨年の無血作戦と異なり、次は残忍で流血をいとわない攻撃になるだろう。」と警告しております。ナイジェリアでは、石油の利権を中央政府が独占するので、地方都市勢力と中央政府との対立が続いております。
米原油生産と米オイルリグ数