11月16日

原油市場

 昨夜の原油市場は、前日の大幅下落の反動で小幅高となったようです。昨夜発表されたEIA週間石油在庫統計は、原油が290万バレル減予想に対して190万バレル増、ガソリンが100万バレル減予想に対して90万バレル増、ディスティレートが180万バレル減予想に対して80万バレル減となりました。原油とガソリンが市場予想に反して増加しましたが、原油在庫は昨日早朝にAPIから発表された数値(原油650万バレル増)ほどの増加とはなりませんでした。米原油生産は、2万5000バレル増の日量964万5000バレルとなり、3週連続で年初来最高を更新しました。米原油輸出が前週より通常水準付近まで低下しましたので、米原油在庫が2週連続で増加したようです。

 一時はクルド人問題やレバノン問題、サウジアラビアの汚職摘発問題、イエメン問題、イラン問題など多くの中東の地政学的リスクの高まりが騒がれましたが、ここにきて「中東の地政学的リスク」があまり注目視されなくなってきたように感じられます。「採算を買い、人気を売る」という商品相場特有の格言もあり、「中東の地政学的リスク」が騒がれて投機人気が高まったところが売り場だったのかもしれません。

NYダウが9月5日から11月6日にかけて1849ドルほど上昇し、そうした米国株の上昇を中心としたリスクオンの流れでは、原油市場の強材料ばかりが注目されたように感じられます。しかし、NYダウが11月7日から6営業日ほど下落すると、マーケット全体の雰囲気も「リスクオフ」に変化し、原油市場への売り圧力も高まってきたように感じられます。NY原油におけるファンドの買い越し枚数が過去最高水準まで膨れ上がっていることから、これからは、ファンドの手仕舞い売りに注目する局面にきているのかもしれません。
NY原油の日足
東京ドバイ原油の日足
NYダウの日足


 

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