11月22日

トルコリラ

 対ドルでトルコリラが最安値を更新しました。それに対してトルコ中銀は、自国通貨防衛策を発表しました。トルコ中銀当局者によると、調達方法を絞り込むことでトルコリラの平均調達コストが22日から前日比0.26%上昇の12.25%になるというものです。更にトルコ中銀は、22日から銀行間市場での翌日物借入上限をゼロとし、流動性ファシリティーの上限を前日の2倍にすることも公表しました。これらのトルコ中銀の発表によりトルコリラの下落基調が現時点では止まっておりますが、反発には転じていないだけに、トルコリラの地合いの悪さを感じます。

 トルコのエルドアン大統領は17日、ノルウェーで実施中の北大西洋条約機構(NATO)の演習で、エルドアン氏の名前とトルコ建国の父アタチュルク元大統領の写真が仮想敵の一覧に掲載されていたとして、トルコ軍兵士40人を演習から撤収させました。それに対してエルドアン大統領は、「このような同盟は考えられない。」と述べております。更に、トルコのトプチュ大統領アドバイザーは、「すべてのトルコで起こったクーデターの背後にはNATOがいたばかりではなく、軍需産業にも侵入して影響を与えていた。いまエルドアン大統領と立ち上がらない者、戦争を望まない者は国を出て行け。」と述べております。

 最近のトルコは、米国などNATO加盟国から距離をとっており、ロシアなど東側諸国との関係を深めております。トルコがNATOに対立しているロシアから地対空ミサイルS400を購入したことにもNATO加盟国から批判が高まっておりました。そして、トルコとロシア、イランとの首脳会談が本日開催されてシリア情勢について話し合われますが、この首脳会談に対してNATO加盟国からトルコへの批判が高まりそうです。最近のトルコの行動を考えると、トルコのNATO離脱も時間の問題かもしれません。

 トルコとNATO加盟国との関係が悪化しております。そして、レザ・ザラブ氏に対する裁判が進めば、トルコとNATO加盟国との関係が更に悪化しそうです。トルコは、先月よりロシアやイランとの首脳会談を複数回開催しており、トルコとしても「NATO離脱」を考えているのかもしれません。しかし、トルコが米国や欧州から距離をとって東側諸国との結びつきを強めると、トルコへの投資に対する米国や欧州の投資家離れが進みそうです。そうしたことを考えると、トルコリラに対してしばらく弱気な見方を継続するべきかもしれません。