11月27日

天然ゴム市場パート4

 上海ゴムは、今朝から前日比変わらず付近で小動きを続けておりましたが、14:30からの30分間で3%安付近まで急落しました。それでも東京ゴムが1.5円安で取引を終えたことは印象的です。上海ゴムが3%安となれば、東京ゴムが6円安付近まで下落する計算となりますが、東京ゴムの下落局面では、商社の手仕舞いの買い戻しが活発化しているのかもしれません。

 東京ゴムにおけるファンドなど外国商品先物取引業者経由のポジションは、東京ゴムが210円付近まで下落した9月21時時点から売り越しに転じ、11月22日時点で8019枚まで増加しました。一方、商社など当業者の売り越し枚数は、東京ゴムが230円台まで上昇した9月13日時点で6287枚まで増加しましたが、先週末時点で1109枚まで減少しました。

 ファンドが売り越し枚数を膨らまし続けている反面、商社はヘッジ売りの手仕舞いを急いでいるようです。そして、ファンドが売り越し枚数を8千枚程にまで膨らましましたが、それでファンドの平均売り値から4円ほどしか下落していないことも注目でしょう。

 15:30時点では、上海ゴム2.7%安、上海銅0.5%安、上海鉛0.6%安、上海鉄筋1.5%高、上海熱延鋼板1.3%高、大連鉄鉱石0.4%安大連コークス0,7%高、大連粘結炭0.2%高です。

 タイとインドネシア、マレーシアの3カ国からなる国際天然ゴム協議会(ITRC)の会合が本日から開催されております。産地現物価格が過去10年間の最安値付近まで下落したことを受けて、主生産地で危機感が高まっているようです。タイのプラユット首相は、ジェトロの石重会長と会談し、天然ゴム産業の支援と投資を要請しておりました。プラユット首相は、タイの天然ゴム政策委員会の委員長を務めるだけに、天然ゴム価格の安定化に向けて積極的な姿勢を示しているようです。

国際天然ゴム協議会(ITRC)が4月21日に会合を開催し、天然ゴムの輸出制限の検討に入ったことを発表し、7月の次回会合で輸出削減策実施の是非を問うことを表明しました。

タイとインドネシア、マレーシアによる緊急会合が6月17~18日に開催されましたが、その会合結果が「非公式会合」となり、輸出削減策実施を期待していた買い方の失望売りが広がり、東京ゴムが週明けから大きく下落しました。

7月7~10日に開催された国際天然ゴム協議会の会合では、輸出削減策の詳細を次回会合で話し合うことになりました。当時の、関係者からのコメントでは、規模は昨年と同じで、6ヵ月間で61万5000トン(タイ30万7500トン、インドネシア23万8000トン、マレーシア6万9500トン)となる見通しだと伝えられておりました。

9月12~15日に開催された国際天然ゴム協議会の会合では、天然ゴムの輸出削減策は合意に至りませんでした。それを受けて230円付近まで上昇していた東京ゴムが急落することになりました。その後の東京ゴムは、2か月間で48円幅ほど下落しました。

タイ・ハジャイのRSS3号現物価格のキロ当たりの値段は、4月21日の会合時が72バーツ、6月17~18日の会合時が約59バーツ、7月7~10日の会合時が約54バーツ、9月12~15日時点が約57バーツですが、本日の値段が45.7バーツです。さすがに産地現物価格が過去10年間での最安値付近まで下落しているので、「今回の会合で輸出削減策が合意される可能性」に注目することも一考ではないでしょうか。そして、本日から始まった国際天然ゴム協議会の会合では、前回や前回の会合みたいに「輸出削減策への期待先行」となっていないだけに、たとえ輸出削減策が合意に至らなくても、失望売りを誘う可能性は低そうです。それよりも、輸出削減策が合意されれば、大きな「サプライズ」となり、東京ゴムが大きく上昇する可能性もあります。
東京ゴムのファンドポジション