1月16日

トルコリラ

米国がシリア防衛軍の戦闘員を訓練してシリアのトルコとの国境付近に配備する計画に入ったことで、米国とトルコの関係悪化が懸念されてトルコリラ売りが進みました。現在、シリア防衛軍230人の戦闘員が米国軍の訓練を受けており、最終的にはシリア防衛軍1万5000人が訓練を受ける計画です。それに対してトルコ政府の大統領スポークスマンであるカルン氏は、「このことは地域の位置付けを変えてしまう。」と非難しております。

 米国は、シリア防衛軍の戦闘員を訓練することに対して、「IS対策が目的」と説明しております。それに対してトルコ側は、「シリア防衛軍の新組織部隊はIS対策ではなく、シリア北部のクルド人独立の為。」と非難しているようです。トルコ軍が2015年のIS空爆計画に参加した時は、イラクやシリア内のISへの空爆よりクルド人組織(クルディスタン労働者党)の拠点への空爆を主に行ったほどエルドアン政権とクルド人との仲は悪いのです。2015年6月のトルコ総選挙では、クルド人組織(クルディスタン労働者党)とつながりのあるとされるクルド政党の人民民主主義党に躍進を許し、エルドアン大統領が過半数を割る結果となりました。そうしたエルドアン政権とクルド人との関係を考えれば、米国がクルド人を中心とするシリア防衛軍の戦闘員の大規模訓練を開始することは、「米国とトルコ政府との対立激化」を予感させます。経済制裁下のイランへのマネーロンダリング疑惑で拘束されているレザ・ラザブ容疑者やメフメト・ハカン・アッティラ被告への量刑が4月11日に発表されるとや、これから米国によるシリア防衛軍の戦闘員の大規模訓練が本格化することを考えると、「米国とトルコとの関係悪化」を嫌気してトルコリラがしばらく軟調地合いを続ける可能性もあります。