1月17日

原油市場

 昨夜のNY原油は、6営業日ぶりに下落しました。3連休明けとなった昨夜のNYダウは、寄付き直後に一時251ドル高の2万6054ドルまで高騰しましたが、その後は下落を続けてマイナス転換となり、10ドル安の2万5792ドルで取引を終えました。そうしたリスクオフの流れに昨夜の原油市場が圧迫されたようです。

 米エネルギー情報局(EIA)は昨夜、2月の米原油生産が日量1000バレルとなり、2019年には日量1100万バレルに達するとの見通しを発表しました。それにより、米原油生産が2月にサウジアラビアを上回って世界第2位となり、2019年にロシアを上回って世界1位となる見通しです。また、2月の米シェールオイルの増産量を日量11万1000バレルとしました。

 週間石油在庫統計に対する市場予想平均は、原油360万バレル減、ガソリン360万バレル増、ディスティレート80万バレル減となり、製油所稼働率が0.6%低下の94.7%となっております。12月のエネルギー需要の最盛期に製油所稼働率が最も上昇し、2月のエネルギーの不需要期のピークに製油所稼働率が最も低下する傾向があります。それにより製油所稼働率が12月頃の95%付近から2月頃には85%付近まで低下する傾向があります。

 米ディスティレート在庫は、この2カ月間で13%ほど増加しました。冬の暖房用燃料需要のピーク時にディスティレート在庫が急増することはめずらしいことです。また、米ガソリン在庫もこの2カ月間で21%ほど急増しました。こうした石油製品在庫の急増と、エネルギーの不需要期のピークが来月に迫っていることを考えると、これから米製油所稼働率が加速度的に低下する可ことも予想されます。米製油所稼働率は、昨年末に96.7%まで上昇して近年最高値をつけましたが、年明けに95.3%まで低下し、今週の発表で94.7%まで低下する見通しです。米原油生産が増加し、それと共に製油所稼働率が低下すれば、米原油在庫が急速に増加する可能性も高まります。毎年1月から2月にかけては、米製油所稼働率が最も急激に低下する傾向があるだけに、1月から2月にかけて原油市場に対して弱気することも一考かもしれません。

これから月末にかけて石油メジャーの決算発表が急増します。原油価格が3年ぶりの高値まで上昇したことにより、大幅黒字決算を発表する石油メジャーが急増することも予想されます。しかも、NY原油における当業者の売り越し枚数が過去最高の67万枚台まで増加しており、石油メジャーのヘッジ売りが過去最大規模にまで膨らんでいるようです。それにより石油メジャーの多くは、今後の原油価格下落の可能性をあまり気にせずに本格的な増産体制を続けることが出来ます。しかも、NY原油におけるファンドの買い越し枚数が2カ月前から過去最高を更新し続けており、先週末の発表で買い越し枚数が65万枚台にまで達しました。ここまでファンドの買い越しポジションが膨らむと、何かのきっかけ次第でファンドの手仕舞い売りが急増する可能性が高まります。ファンドポジションや石油メジャーのヘッジ売りや2月のエネルギーの不需要期のピークなどを考慮すると、これから2月にかけて東京ドバイ原油への売りに注目することも一考ではないでしょうか。
米製油所稼働率2
米ガソリン在庫と米原油在庫