下記の記事は、昨日メール情報会員に配信しました過去記事です。参考にどうぞ。

3月5日

マーケット全体の展望パート2

先週後半の米国株式市場は、トランプ大統領発言による貿易戦争や保守主義の広がりを警戒して大きく下落しました。下記のコメントは、トランプ大統領のツイート上での3月2~3日のコメントです。

「ある国(アメリカだ)が事実上どこの国との交易でも何十億ドルも損しているとき、貿易戦争も悪くはないさ。楽勝だ。」

「例えばある特定の国との貿易で、わが国が1千億ドルをなくしていて相手が横着な態度なら、取引を停止するまでだ。それだけで大勝ちだ。簡単じゃないか。」

「ある国がわが国からの輸入に、まあ50%を課税している時、我々は同じ物を無課税で輸入しているが、これは不公平か頭が悪いかだ。わが国は間もなく相手国と同等の課税を開始するだろう。相手がこちらに課しているのと同じだけ、向こうに課税するためだ。貿易赤字額は、なんと8千億ドルだ。他に仕方がない。

「アメリカは、まったくバカバカしい貿易協定と政策のせいで、年間8000億ドルの貿易赤字を出している。わが国の雇用、そして富は、長年わが国を利用してきた他国に奪われてきた。そして連中は、アメリカのリーダーはなんとマヌケなのかと嗤っているのである。もうそうはいかん。」

仮にEUが、既に高い関税や、あちらで事業をやる米国企業への障壁をさらに増やす気なら、先方が自由にアメリカへ輸出している自動車に単に課税するばかりだ。彼らはアメリカ車や他の商品をあっちで売れないようにしている。えらい貿易不均衡である。」

上記のコメントなどを背景に貿易戦争や保守主義の広がりが米経済に悪影響を与えるとの懸念が強まり、先週2~3日の米国株が大きく下落しました。それに対してノースウェスタン・ミューチュアル・ライフ・インシュアランスの最高投資ストラテジストのシャット氏は「トランプ大統領が交渉者だということが常に忘れられている。人は交渉する時、最終的に望む地点から交渉することはない。きのうの関税表明は観測気球を揚げたもので、米国に対し快く何か差し出す用意があるというのであれば、こちらから報いることもあるだろう。」と述べております。今回の貿易不均等問題に対して、トランプ大統領が最初に厳しい姿勢を見せて後から譲歩するという展開となるのかもしれません。トランプ大統領の経営者や交渉人としてのスキルを考えれば、先週後半のリスクオフの流れが強まったタイミングは、リスク志向の商品の良い買い場だったのかもしれません。

VIX指数2

3月5日

マーケット全体の展望パート3

 NYダウは、2月2日からの6営業日で2826ドル下落し、その後の2週間で2440ドル上昇しました。そして、3月2日までの4日間で1492ドル下落しました。NYダウがこの1カ月間で「急落→急騰→急落」となり、それに貴金属市場や原油市場が振り回される展開となっております。

 先週末のNYダウは2万4538ドルで取引を終えました。先週末の引け値を下回ったのは、年初からでは2月5日の2万4345ドルと2月8日の2万3860ドルと2月9日の2万4190ドルの3日間だけですから、先週末のNYダウが下限に近い水準だったのかもしれません。しかも、シカゴVIX指数は、2月5日に38.8ポイント、2月8日に36.17ポイント、2月9日に40.09ポイントまで上昇しましたが、先週末は26.22ポイントまでしか上昇していないので、投資家の恐怖心が一時よりかなり沈静化してきたようです。それによりこれからは、NYダウが上昇に向かう可能性が高く、そうした動きに貴金属市場や原油市場も追随する可能性が高いと考えるべきかもしれません。しかも、NYダウが先週末までの4日間で1492ドルも下落した直後ですから、ここからは、NYダウが上昇に転じるタイミングを探すべきではないでしょうか。