4月3日

トランプ米大統領は3月8日、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限を正式決定しました。それにより、鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を3月23日から課すことになりました。それに対して中国政府は3月23日、総額30億ドル規模となる128の米国製品に最大25%の追加関税を導入する計画を発表しました。そして、中国政府は4月1日、正式に128の米国製品に最大25%の追加関税を導入することを決定しました。これを受けて米中貿易摩擦の高まりが懸念されました。

 トランプ大統領は3月22日、知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品600億ドル相当への追加関税や中国企業による米国内の投資を制限する制裁を発表しました。それに対して中国の催駐米大使館は、「米国が中国の知的財産権侵害を理由にした対中貿易制裁を決定した場合、同じ規模の報復を行う。中国は、確実に同じ比率、同じ規模、同じ強さで反撃する。」と述べております。そして、米通商代表部(USTR)は4月3日、中国からの輸入品に対する25%の追加関税について、対象が約1300品目に上り、年間500億ドル程度に相当することを明らかにしました。そして、米通商代表部(USTR)は、品目リストの公表によって意見公募と協議を開始し、2か月後に最終決定を下すことを明らかとしました。

 今回の米通商代表部(USTR)による約1300品目への追加関税は、「中国製造2025」の恩恵を受けるとみられる製品が主な対象となっております。「中国製造2025」とは、先進情報技術(IT)やロボット、航空機、新エネルギー車、医薬品、発電設備、先端材料、農業機械、造船・船舶工学、高度な鉄道設備の10分野において、輸入品を中国製品に入れ替えることを目指している政策です。

 米通商代表部(USTR)による中国の約1300品目に及ぶ製品への追加関税の最終決定は2か月後ですから、今から米中貿易摩擦への警戒を強める必要もないのかもしれません。それよりも、あと1週間ほどすると本格化する「米国企業の1~3月期決算発表シーズン」に向けた対策の方が重要かもしれません。