4月27日

原油市場

 2015年に締結されたイランへの経済制裁解除に関するイラン核合意の期限が5月12日に迫っており、米国によるイランへの経済制裁再開に対する懸念から原油価格が強含みを続けております。

国連安全保障理事会は2010年6月、資産凍結やイラン船舶へのサービス禁止、イランの銀行の開店禁止、各国にある金融機関がイランに開店すること及び預金口座を開設することを禁止するなどの条件からなるイランへの経済制裁を可決しました。それによりイランの原油輸出が激減しました。それを受けてNY原油は、2010年9月に75ドル付近で推移していましたが、その半年後に110ドル付近まで高騰しました。

欧米6各国は2015年6月、イラン核協議の最終合意に至りました。それにより、イランへの経済制裁が解除され、イランの原油増産が開始されました。それを受けてNY原油は、2015年5月に62ドル付近で推移していましたが、その7か月後に30ドルを割り込むまでに下落しました。こうした背景があるので、2015年に締結されたイラン核合意の期限を前に原油市場への注目が高まっております。

今回のエネルギーセクターの1~3月期決算発表では、市場予想を上回る好決算が連発しております。米石油大手のコノコフィリップスの企業利益は、前年同期比51%増の8.88億ドルとなりました。仏石油大手のトタルの企業利益は、27.7億ドル予想に対して29億ドルとなりました。中国石油大手の中国石油化工(シノベック)の企業利益は、前年同期比12.3%増の30.5億ドルとなり、3年ぶりの高収益となりました。英石油大手のシェルの企業利益が前年同期比66.7%増の58.99億ドルとなりました。

 NY原油の価格水準は、2017年4~6月期が42~53ドル付近、2017年7~9月期が43~50ドル付近、2017年10~12月期が47~59ドル付近であり、2018年1~3月期が58~66ドル付近で推移しているのですから、今回のエネルギーセクターの1~3月期決算で企業利益が大幅増加となることは、当然の事かもしれません。しかも、年末で期限を迎えるOPEC加盟国と非加盟国による協調減産が来年も延長される可能性が高まっているので、1~3月期で高収益を得た欧米の石油開発企業の多くが増産体制を強めそうです。

トランプ米大統領は24日、フランスのマクロン大統領と会談し、現在のイラン核合意よりも強力な取り決めを目指す考えで一致したことを表明しました。それにより米国は、「弾道ミサイル開発」と「核施設に対する査察の条件」と「核開発に対する制限を解除するサンセット条項」などの項目を強化した条件の核合意案をイランに提示することになりそうです。その後は、米国とイランとの交渉がしばらく続きそうです。ですから、米国が今すぐにイランへの経済制裁を再開する可能性は少なそうです。それよりも、1~3月期で大幅な収益を得た石油開発企業の多くが本格的な増産体制に動く可能性に警戒すべきかもしれません。そして、イラン核合意の期限を過ぎても米国が経済制裁再開をしなければ、買い方ファンドの失望売りが加速する可能性もあります。NY原油におけるファンドの買い越し枚数は、4月17日時点で72万8131枚となり、過去最高となっております。ここは、東京原油に対する弱気な見方に注目ではないでしょうか。
週間純輸出成約