5月7日

トウモロコシ市場

 今週の穀物市場の注目点は、米農務省から7日に発表される週間育成・進展状況と10日に発表される需給報告となります。週間育成・進展状況に関しては、温暖な天候により米国産トウモロコシの作付けペースのアップが予想されます。そして、需給報告に関しては、2018~2019年度のアルゼンチン産のトウモロコシと大豆と小麦の生産高見通しと輸出量見通しが上方修正される可能性が高まっております。

今年の米国産トウモロコシの作付けは、4月上旬~中旬の低温警戒により作付けが遅れました。しかし、4月下旬から気温が上昇し、作付け作業が回復基調になってきました。ウエザーサービスによるシカゴの週間予報では、この先1週間の最低気温は9~12度となっており、温暖な気候が続きそうです。また、ウエザーサービスによる10日予報によるこの先10日間の降水確率は、70%が1日、60%が1日、50%が1日、40%が2日、20%以下未満が5日となっており、適度な降水量を伴った温暖な気候が予想されております。

 米農務省のアルゼンチン駐在農務官が3日までに発表した報告書によると、2018~2019年度のアルゼンチン産の生産高見通しは、トウモロコシが4000万トン、小麦が2000万トンにそれぞれ上方修正となりました。そして、2018~2019年度のアルゼンチン産の輸出量見通しは、トウモロコシが過去最高の2700万トン、小麦も過去最高の2000万トンにそれぞれ上方修正しました。

 中国が米国産大豆や米国産トウモロコシ製品に対する追加関税を課す可能性が高まってきたことにより、中国の穀物輸入業者の多くが米国産から南米産へと輸入先の変更に動きだしております。それを受けてアルゼンチンなど南米諸国では、2018~2019年度の穀物生産が過去最高に達する可能性も高まってきました。

5月7日

原油市場

 先週末のNY原油は、一時69.97ドルまで上昇し、69.72ドルで取引を終えました。2015年に締結したイランへの経済制裁解除に関するイラン核合意の期限が迫っており、米国とイランとの対立に原油価格が反応しております。

米国は、5月12日のイラン核合意期限までにミサイル開発やサンセット条約などの条件が見直されない限り、イランへの制裁停止措置を延長しないという姿勢を示しております。それに対してイランは、イラン核合意に対するいかなる条件の変更も認めないという姿勢を示しております。イランのロウハニ大統領は6日、「核合意を巡るトランプ氏の決定を拒否する用意がある。核合意から離脱すれば、米国は過ちを犯すことになる。」と述べております。そして、フランスのマクロン大統領は、「トランプ大統領がイラン核合意の離脱を決定すれば、戦争が起きる恐れがある。トランプ大統領は戦争を望んでいるとは思わない。」と述べております。

イラン核合意に関する欧米6カ国中でフランスだけは、現状の核合意の条件維持の姿勢を示しております。現在のイラン核合意には、一定期間後に核開発の制限を解除する「サンセット条項」が盛り込まれております。イランは、核開発の制限解除に向けて弾道ミサイルの開発を行っていると見られております。このままいけば、2025年以降からイランが核開発を再開することになります。これに対してイラン核合意に関する欧米6カ国中5カ国が核合意の条件変更の姿勢を示しております。このままいけば、5月12日の核合意の期限までに欧米6カ国のイラン核合意に対する意思統一は難しそうです。そうなれば、米国がイラン核合意から離脱して単独でイランに対する経済制裁再開の姿勢を示す可能性がります。こうした思惑が、最近の原油価格を押し上げているようです。