5月23日

白金市場

 EU委員会は昨夜、大型トラックに対する排ガス規制の草案を発表しました。新たに発売される大型トラックが排出するCO2を2019年の水準と比べて2025年までに15%以上削減し、2030年までに30%以上削減することを義務付けるという内容です。EUが大型トラックに対するCO2排出量の規制に動くことは初めての事です。

 EU委員会が大型トラックに対する排ガス規制の草案を発表したことを受けてドイツ政府は18日、自動車メーカーに対してディーゼル車の大気汚染改善に向けた技術的改良を加速するように要請しました。そして、EU委員会は17日、大気汚染に関する規制を順守していないとして、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、スーマニア、イギリスをEU司法裁判所に告発することを決定しました。

 EU委員会は、大型トラックのCO2規制に対する草案を始めて発表し、複数のEU諸国に対して大気汚染に関する件でEU司法裁判所へ告発したことにより、EU全体でのCO2規制が強化される見通しとなってきました。ガソリン車は、ディーゼル車に比べて大量のCO2を排出します。EUでCO2規制が強化されることになれば、ディーゼル車の割合が増加することが予想されます。CO2排出量の少ないディーゼル車の生産が増えることになれば、ディーゼル車の触媒原料となる白金の使用量が増加することになります。こうしたことを背景として、今週になって白金価格が急騰したようです。

下記のコメントは、先週18日に配信しました過去記事です。参考にどうぞ。

5月18日

白金市場

 EU委員会は昨夜、大型トラックに対する排ガス規制の草案を発表しました。新たに発売される大型トラックが排出するCO2を2019年の水準と比べて2025年までに15%以上削減し、2030年までに30%以上削減することを義務付けるという内容です。EUが大型トラックに対するCO2排出量の規制に動くことは初めての事です。

 EUは、2030年までに全セクターのCO2排出量を1900年の水準より40%以上削減する方針をすでに決定しております。その方針に、大型トラックへの規制も新たに加えることになりました。EUが今回打ち出した大型トラックへのCO2削減計画に対してEU自動車工業会は、「基準が厳しすぎる」

と反発しております。

 ガソリン車は、ディーゼル車に比べて大量のCO2を排出します。EUでCO2排出量の規制が厳しくなるほど、CO2排出量の少ないディーゼル車のシェア拡大に繋がります。そして、ディーゼル車の触媒に多くの白金が使用されていることから、現在のEUのCO2排出量削減計画を考えると、EUでの白金使用量の拡大は避けられないことかもしれません。