5月23日

原油市場パート2「OPECの増産の可能性高まる」

 OPEC関係者筋は22日、ロイターに対して、イランとベネズエラからの原油供給を巡り懸念が出ていることなどから、OPECが6月にも産油量の引き上げを決定することを明らかとしました。更に、米国が原油価格は高すぎるとの見解を示したことも、OPECが産油量について検討を始めるきっかけになったと伝えております。

サウジアラビアのノバク・エネルギー相とUAEのマズルーイ・エネルギー相は5月17日の共同声明で、「最近の市場の不安定さは地政学的な懸念から生じたものであり、既存のメカニズムの中で他の産油国や消費国と共に、市場の安定化に向けて取り組んでいく。」と表明しました。そして、サウジアラビアのハリファエネルギー相は5月18日、ブレント原油が80ドル台に乗せたことを受けて、OPEC加盟国と非加盟国による協議を進めていることを明らかとしました。更に、UAEやロシアや主要消費国などエネルギー相に対して、世界市場の不安を緩和する為の世界的な協調協議を呼び掛けていることも明らかとしました。また、イランのザンギャネ石油相は5月17日、「原油価格は1バレル=60~65ドルが合意的な水準。米国は、シェールオイルの成長を支えるために原油価格を高止まりさせようとしている。」と述べております。

 6月22日にOPEC総会が開催されます。6月のOPEC総会の焦点は、「経済制裁再開によるイラン産原油輸出が減少した時の対応」に対して主に話し合われる予定となっております。これまでの原油市場の強材料とされてきた「経済制裁再開によるイラン産原油輸出の減少懸念」は、6月のOPEC総会により強材料でなくなる可能性も高まってきました。イラン産原油が減少したとしても、それをOPEC諸国が補う可能性が高まっております。しかも、OPEC諸国の多くが最近の原油高を非難しております。原油価格が上がればOPEC諸国は基本的に喜びます。しかし、世界経済成長を圧迫するほど原油価格が上がれば、OPEC諸国としても困ります。また、米国のシェールオイルの増産を加速させるほどの原油価格の高騰も、OPECとして困ります。OPEC諸国として困る水準まで原油価格が上昇していることからも、原油価格が上限に達したのかもしれません。しかも、6月のOPEC総会でイラン産原油輸出が減少した時の対応が話し合われるとなれば、原油相場が6月のOPEC総会を前にして崩れても仕方がないのかもしれません。